Tallinn 1

おとぎの国、
エストニア・タリン

エストニア・タリンの旅 - 前編 -

フィンランド・ヘルシンキ〈Finland / Helsinki〉から、クルーズ船タリンク・スターに乗ってフィンランド湾を南へ。バルト海の向こうに、まだ見ぬ北欧があります。
リトアニア〈Lithuania〉、ラトビア〈Latvia〉と並ぶバルト三国のひとつ、エストニア〈Estonia〉。世界文化遺産の首都タリン〈Tallinn〉の旧市街は、800年前の中世の街並みが残る美しい古都。

遥か中世へ、時をかけるような1日の旅。
おとぎの国、エストニア・タリンへ。

2015 Photo & Text_Scandinavian fika.

Tallinn 1

おとぎの国、エストニア・タリン

スカンジナビア半島の対岸、バルト海の向こうに、まだ見ぬ北欧があります。北ヨーロッパ、バルト海の北東に位置するバルト三国のひとつ、エストニア〈Estonia/Eesti〉。
エストニアと聞いて浮かんでくるのは、キフヌ島〈Kihnu〉の赤い縞模様のスカートと、オレンジのとんがり屋根や古い建物が建ち並ぶパッチワークのような街 タリン〈Tallinn〉。 800年もの歴史を誇る世界遺産タリンの旧市街は、中世の街並みが大切に保存された歴史と伝統が息づく美しい古都。
中世へタイムトリップするように、ヘルシンキからフェリーに乗ってバルト海を渡ります。滞在7時間の日帰りエストニア・タリンの旅。 ヘルシンキ中央駅から6番・7番トラムで約20分、ヘルシンキ・西ターミナル〈Länsiterminaali〉へ。
7:30発のライムグリーンの Tallink Star〈タリンク・スター〉に乗って、2時間の豪華客船クルーズ。

穏やかなバルト海を南へすすみ、エストニアのタリン港が近づいてくると、教会の尖塔や大聖堂のシルエットが浮かび上がり、あの美しい世界遺産の街並みが見えてきます。ここは、まだ知らない北欧。おとぎの国、タリンへようこそ。

ヘルシンキとタリンを結ぶフェリーは、1時間半で行ける高速船リンダライン〈Linda Line〉もあり、毎日運行しています。通貨はフィンランドと同じユーロで、時差もありません。5泊7日くらいの北欧滞在で2ヵ国以上旅したいなら、ぜったいフィンランドとエストニア・タリンがおすすめ!

Raekoja plats

ラエコヤ広場

はじめてのバルト三国、エストニア・タリンの旅。フェリーでタリンDターミナル〈Tallinn D-terminal〉に到着したら、さっそく世界遺産のタリン旧市街へ向かいます。
シェンゲン協定により、フィンランドとエストニアはパスポートがあれば国境検査なし、そのまま入国できます。エストニアはフィンランドと比べて物価が安いことから、スーツケースを手に食料やお酒などの買い出しにきているフィンランド人がたくさん。海を超えてはるばるやって来たのに、周りは「ちょっとそこまでお買いもの」的な雰囲気。ピリリとした緊張感なし。でも、このおおらかな感じがたまりません。

タリン港からいちばん近い城壁の北門スール・ランナ門〈Suur Rannavärav〉までは歩いて15分ほど。私はタリン港から人の流れについて行ったら、旧市街の東にある正面玄関 ヴィル門〈Viru värav〉へ到着しました。
約2kmの城壁に囲まれたタリン旧市街の観光スポットは、ヘルシンキからの日帰り旅行でも十分歩いてまわれる広さ。旧市街のエリアは山の手〈トームペア〉と下町に分かれていて、色とりどりの可愛い建物が並ぶ石畳の小径を歩けば、自然と街の中心 ラエコヤ広場〈Raekoja plats〉へたどり着きます。週末にはマーケットが開かれる旧市庁舎前のラエコヤ広場はいつもにぎやか。冬に開かれるクリスマスマーケットでは、大きなクリスマスツリーとイルミネーションで、おとぎの国はもっと幻想的な色に染まるそう。

トーマスおじいさん

ラエコヤ広場の前に建つのは北欧最古のゴシック建築、タリン旧市庁舎〈Tallinn Town Hall〉。1402年から1404年につくられた歴史ある旧市庁舎は、夏の間だけホールを見学することができます。塔の上からの見晴らしも最高。高さは65メートル塔の先端には、タリンの人びとに愛される街の見張り番「トーマスおじいさん」の姿が!
風見鶏ならぬ、風見おじいさん。伝説の監視兵「トーマスおじいさん」に見守られ、タリンの街は今日も平和です。

聖霊教会 と 秘密の薬

ラエコヤ広場の近くには、14世紀に建てられた聖霊教会〈Church of the Holy Spirit〉があります。白い教会は正面から見ると八角形のカタチをしていて、外壁にはタリンで最も古い大時計がかけられています。

広場の角にあるヘビが巻きついた杯の看板のお店は、1422年に創業したヨーロッパ最古の薬局、市議会薬局〈Raeapteek〉。薬局の中に入ると、中世の道具や薬、スパイスが展示されていて、普通の薬やハーブティー、チョコレートなども購入することができます。中世の治療薬だった「焼き蜂」や「ユニコーンの角の粉末」はもうありませんが、「恋の病を癒す薬」はまだ売ってます。恋する乙女の心の傷を癒すのは、なんとマジパン!昔、マジパンは薬だったそう。秘伝の薬の材料は、72%のアーモンド。残りの28%は………ひみつです。

Suur Rannavärav

ふとっちょマルガレータと 三人姉妹

「ふとっちょマルガレータ」の愛称で親しまれている城壁の北門、スール・ランナ門〈Suur Rannavärav〉。ここが昔、牢獄として使われていたころ、囚人の世話をしていた太った女将さんにちなんで「ふとっちょマルガレータ」と呼ばれるようになったのだとか。タリンは「トーマスおじいさん 」とか「のっぽのヘルマン」とか愛称にもユーモアがあっておもしろい。
スール・ランナ門のふとっちょな砲塔はエストニア海洋博物館〈Eesti Meremuuseum〉として、いろんな帆船の模型や船具などが展示されています。砲塔の屋上から、旧市街や港の眺めるのも気持ちいい。

タリン港からいちばん近いスール・ランナ門をくぐって旧市街へ入ると、タリン憧れの5ツ星ホテル 三人姉妹〈スリーシスターズ/ Kolm Ode〉が見えてきます。1362年に建てられた商家の住居が3軒仲良く寄り添うように並んでいて、女性らしい雰囲気とたたずまいから「スリーシスターズ」と名前がついたそう。伝統的なエストニア建築を改装したホテルは、中世の趣きを残し、ベッドルームはまるで博物館のような内装だとか。日帰りタリンの旅もいいけど、ほんとは三人姉妹で1泊して、ゆったりタリンを満喫したかったな。

Aleksander Nevski katedraal

世界遺産の街歩き

世界遺産タリンの街歩き。東西約800m、南北約900mの旧市街は歩きやすい靴があれば、日帰りでもだいじょうぶ。観たいところをきっとまわれます。タリン旧市街は山の手と下町に分かれていて、下町のラエコヤ広場周辺にはレストランやカフェ・ショップがたくさんあります。まずは山の手のトーンペアを目指して、高台から世界遺産の街並みを堪能。レストランやカフェ、おみやげ探しは旅の後半にとっておきましょう。
旧市街の山の手「トーンペアの地区」には、高さ50.2メートルの塔「のっぽのヘルマン」とトーンペア城〈Toompea loss〉、アレクサンドル・ネフスキー大聖堂〈Aleksander Nevski katedraal〉やタリン最古の教会 聖母マリア大聖堂〈Cathedral of St. Mary the Virgin〉、キーク・イン・デ・キョク〈Kiek in de Kök〉など見所いっぱい。北のトーンペアの丘にすすめば、絶景ポイントのパットクリ展望台とコフトウッツァ展望台があります。展望台から見下ろす、世界遺産の美しすぎる街並み。その向こうには青いバルト海が広がっています。

タリン旧市街の最高の撮影スポットは、トーンペアの丘の2つの展望台と、反対側の下町にそびえる聖オレフ教会〈Oleviste Kogudus〉の塔の上。
上の写真は、聖オレフ教会から撮影したタリン旧市街の街並みです。トーンペアに建つ大聖堂や「のっぽのヘルマン」、右側の断崖には展望台も見えます。

オルデハンザと カタリーナ・ギルド

中世の都へタイムトリップ。おとぎの国で、心はすっかり中世の色に染まっているから、できればお腹も、そんな感じで満たされたい。 タリン旧市庁舎の東には、中世のエストニアをテーマにした人気のレストラン オルデハンザ〈Olde Hanza〉があります。むかしの商人の館を改築した店内は、ハンザ同盟都市として栄えた15世紀のエストニアが舞台となっています。中世の衣装に身を包んだスタッフがおもてなし。伝統的なエストニア料理は、素材や作り方にいたるまで当時を忠実に再現しているのだとか。ヘラジカやクマの肉料理、ハチミツビールやハーブビールを、ロウソクの明かりでいただきます。

ラエコヤ広場からヴェネ〈Vene〉通りを数分歩けば、タリンで最も中世を感じられる場所、聖カタリーナの小径〈St. Catherine's passage〉があります。石造りの壁とアーチ形の柱がかけられたカタリーナ通りには、カタリーナ・ギルド〈Katarina Gild〉と呼ばれる8つのスタジオ兼ショップがあり、中世のままの小部屋をアトリエにして、ガラス、陶芸、編み物などのエストニア伝統の工芸品がアーティストたちの手によってつくられています。1点もの作品を買うことも、職人の技が光る作品の制作風景を見学することもできます。

歩けば歩くほど好きになるタリン。迷路のような石畳の小径で迷うたび、間違えた道さえ好きになるタリン。帰りのフェリーの時間まではまだあと少し。もっと話したいことはたくさん。タリンの旅は後編へつづきます。 


後編へつづく →

Tallinn

Estonia

タリン

アクセス
ヘルシンキ中央駅から
6番・7番トラムで約20分の
ヘルシンキ・西ターミナル〈Länsiterminaali〉へ。
西ターミナルからタリン港まで
タリンク・スター〈Tallink Star〉に乗って約2時間のクルーズ。
高速船リンダライン〈Linda Line〉なら約1時間半。

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タリンのアーモンド菓子と
ガトーショコラ
- 後編 -

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