Tuomiokirkko

ヘルシンキ大聖堂と
マーケット広場

ヘルシンキの小高い丘の上に建つ、白亜の大聖堂。大階段に腰を下ろし、夏の日差しをいっぱいに浴びながら街を見下ろすと、「バルト海の乙女」と称される美しい街並が見えます。どうしても見たかった、ここからの景色。
南にはエテラ港があり、1889年創業のオールド・マーケットホール〈Vanha Kauppahalli〉やオレンジ色のテントが並ぶマーケット広場〈Kauppatori〉が広がっていて、旬のブルーベリーやラズベリー、果物や野菜、キノコや海の幸、トナカイの角のアクセサリーや白樺のこぶで作られたククサなどが並び、にぎやかな人であふれています。

一瞬のきらめきのようなフィンランドの夏。夜が来ても、ヘルシンキの太陽はまだまだ沈みません。

2013 Photo & Text_Scandinavian fika.

Tuomiokirkko

ヘルシンキ大聖堂

いつもヘルシンキの街を見守っている白亜の教会、ヘルシンキ大聖堂〈Tuomiokirkko〉。 フィンランドがロシアから独立をはたす1917年までは、聖ニコラス教会と呼ばれていたそうです。ルーテル派の総本山で、1852年にドイツ人建築家カール・ルドヴィヒ・エンゲルの設計でネオ・クラシック様式に改築。でも初めは、真ん中のドームがひとつあるだけだったとか。それから、カールの後継者エルンスト・ロールマンの手によって、鐘楼や礼拝堂や4つの小さなドームがつけくわえられ、30年の歳月をかけて完成しました。屋根には12使徒の像が飾られています。
中央駅からは東に歩いて10分くらい。大聖堂内は入場無料で自由に見学することができます。
夏至が近い白夜のヘルシンキ。真夜中に訪れるつかのまの日没の、夕焼けに染まる大聖堂が忘れられません。

Tuomiokirkko

黄昏のセナーティ広場

ヘルシンキ大聖堂の前には、約40万個の御影石が引きつめられたセナーティ広場〈Senaatintori / 元老院広場〉が広がっています。街の中心に位置するこの広場は、ヘルシンキで最も古い歴史地区。石畳の真ん中には、かつてフィンランドを統治していたロシア皇帝アレクサンダー2世の像が建っています。
ここではよくイベントやコンサートも行われるそう。ヘルシンキ大学、政府官舎、フィンランド国立図書館、そしてヘルシンキ大聖堂。建築家カール・エンゲルがデザインした4つの建築物が、市民の憩い広場を囲んでいます。
大聖堂の大階段から見える景色にうっとり。まだまだ行きたい場所はたくさんあるのに、ぼんやり、のんびり、たそがれちゃいます。もうフィンランドに来たんだから、せかせかしちゃダメなんです。時間を止めるように、大きく深呼吸。ゆるやかな時の流れの中でしか、見えない景色があるのです。

カフェ・エンゲル

ヘルシンキ大聖堂や元老院広場などを手がけた、ドイツ人建築家カール・ルドヴィヒ・エンゲル。1830年代にヘルシンキで最も古い石造りの建物の外観をデザイン。今ではカフェ・エンゲル〈Cafe Engel〉として、観光客に大人気のカフェになっています。
大聖堂を眺めながらお茶できる最高のロケーション。カフェ・エンゲルのおいしいケーキでフィーカもいいし、朝8時からのモーニングに出かけて、カフェオレとクロワッサンで贅沢な朝を迎えるのも魅力的。
カフェ・エンゲルを出たら、マーケット広場へと向かいます。バルト海の乙女の像の噴水広場へ。

バルト海の乙女

マーケット広場があるエテラ港とエスプラナディ通りへとつなぐ噴水広場に、港を振り返る美しい女性の姿……。それは、フィンランド人彫刻家ヴィッレ・ヴァルグレン〈Ville Vallgren〉が 、パリのアトリエで出会った19歳のパリジェンヌ。彼女をモデルにした乙女の銅像をパリのアートサロンで発表したヴァルグレンは、1908年にヘルシンキの噴水広場のメインモニュメントとして母国に贈りました。
「海から湧きあがるような女性像は、ヘルシンキの象徴でもある」と語ったヴァルグレン。
ヘルシンキのシンボルとなったハヴィス・アマンダ〈Havis Amanda〉の銅像は、「バルト海の乙女」として人びとに愛されています。
面白いのは、メーデーの前夜祭にヘルシンキの学生たち噴水広場に集まって、アマンダの像をモップで洗い、白い学生帽をかぶせる「銅像着帽」の儀式があるのだとか!

ヘルシンキ観光案内所とヘルッピ

バルト海の乙女の像の前には、ヘルシンキ・ツーリストインフォメーション〈観光案内所〉があります。運が良ければヘルシンキのマスコットキャラクター、Helppi〈ヘルッピ〉に出会えるかも。
もともとインターネットの世界に住んでいたヘルッピは、ある嵐の夜、3番トラムのパンタグラフから放たれた閃光とともに、大聖堂の屋根の上へ放り出されたそう。目覚めたヘルッピの目の前に飛び込んで来たのは、まるでテーマパークのような楽しさのつまったヘルシンキの街。それ以来、ヘルッピは大好きなヘルシンキの魅力をみんなに伝えているのだとか。好きな色は緑。大好物は綿あめ。ヘルッピに会いたい!

カウパットリには旬のベリー

10時ごろになるとエテラ港にはオレンジ色の屋根の露店が並び、マーケット広場・カウパットリ〈Kauppatori〉がオープンします。ヘルシンキっ子の台所と呼ばれるカウパットリには、新鮮な果物や野菜、海の幸、ククサなどの民芸品まで。ここに来れば何でも揃います。 特に白夜の夏に熟れるベリーは、とってもおいしい!
量り売りのストロベリー〈mansikka〉は、日本のものよりも小粒で酸味が強いのが特徴。ラズベリー〈vadelma〉は天気の良い夏だった場合はとても甘いのだとか。フィンランドのブルーベリーはビルベリー〈mustikka 〉とかワイルドブルーベリーとか呼ばれていて、夏が来るとみんな森にベリーを摘みに行きます。
甘い香りに誘われて、ビタミン補充。ブルーベリーを買って、歩きながらパクリ。小粒でプチッと甘酸っぱいブルーベリーは、旅のあとも思い出す夏のフィンランドの味。

1888年創業のオールド・マーケットホール〈Vanha Kauppahalli〉は 2014年夏にリニューアル。雨でも楽しめる屋内マーケットホールの中は活気にあふれ、新鮮な海の幸や肉、野菜やくだものがいっぱい並んでいて、見ているだけでも心踊ります。レストラン・ストーリー〈Story〉のサーモンスープもおすすめ!

ウスペンスキ寺院

マーケット広場の東にそびえる北欧最大のロシア正教の教会、ウスペンスキ寺院〈Uspenskin Katedraali〉。ロシア人建築家ゴルノスタイッフによって設計され、1868年に完成。「玉ねぎ」のような黄金に輝く13のキューポラを持つ、赤レンガの教会。教会の近くには、「玉ねぎ」という名のフィンランド料理のレストラン、ラヴィントラ・シプリ〈Ravintola Sipuli〉もあるのだとか。
ウスペンスキ寺院の中に入ると、金色の聖壇や美しいイコンが飾られていて、とても神秘的。天井の頂と聖壇の背後は空のように蒼く、星がいくつも描かれていました。
南と北の港にはさまれたカタヤノッカ半島の岩山の上に建つウスペンスキ寺院からの眺めも最高です。

Tuomiokirkko

Helsinki|Finland

ヘルシンキ大聖堂

アクセス
 ヘルシンキ中央駅から東へ
徒歩約10分。

Tuomiokirkko
helsingintuomiokirkko.fi


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