Porvoo 1

ポルヴォーの赤い倉庫

ポルヴォーの旅 - 前編 -

カンピ〈Kamppi〉からバスに乗って1時間。ヘルシンキから東へ約50kmに位置するポルヴォー〈Porvoo〉は、フィンランドに6つある中世の街の中で、トゥルク 〈Turku〉に次ぐ第2の古都。
中世の面影を残す素朴で愛らしい石畳の旧市街と、丘の上にそびえる大聖堂。川岸には、ポルヴォーを象徴する赤い木造の倉庫群が並びます。

ヘルシンキから遠くの街へ、はじめての小旅行。 
古都めぐりと、ルーネベリタルトの甘い誘惑。ポルヴォーの旅はパステル色。

2015 Photo & Text_Scandinavian fika.

Porvoo 1

ポルヴォーの赤い倉庫

ソコス ホテル ヴァークナ〈Original Sokos Hotel Vaakuna〉から一望できるヘルシンキの街並み。街のあいだを縫うようにトラムが走り、中央駅からは遠くの街へ今日も列車が出発します。朝、ホテルの最上階で朝食をとりながらカンピ〈Kamppi〉の街を見ていたら、なぜだか突然遠くへ行きたくなりました。ヘルシンキを飛び出して、日帰りの小旅行。トラムでは行けない街の景色を見てみたい。シリアルたっぷりのヨーグルトとパンをほおばったら、バックとカメラを持って、さあ出発!

ヘルシンキから東へ約50km。およそ800年の歴史を持つポルヴォー〈Porvoo〉は、トゥルク〈Turku〉に次ぐフィンランド第2の古都。ポルヴォーへ行くために、中央駅前から歩いてカンピへ向かいます。カンピ静寂の礼拝堂〈Kampin kappeli〉の前を通って、カンピ・ショッピングセンター〈Kamppi Center〉にあるバスターミナルへ。長距離バスが発着する地下の窓口でチケットを買ったら、ポルヴォー行きのバスに乗りこみます。
(※ポルヴォー行きのバスは1時間に5本くらい出ています)

バスに揺られること約1時間。フィンランド湾へとつづくポルヴォー川の川岸に、ポルヴォーのシンボルともいえる木造の赤い倉庫が見えてきました。
かつては「貿易の街」として栄えたポルヴォー。遠い国々から輸入された香辛料やワインなどを貯蔵する倉庫を赤く塗ったのは、18世紀にこの地を治めていたスウェーデン国王グスタフ3世に敬意を示すためだったといわれています。
橋の上から眺める、ポルヴォーの景色に感激。赤い倉庫の向こうには、パステルカラーの古き良きフィンランドの街が広がっていました。

旅はパステル色

およそ800年の歴史を持つ、フィンランドで2番目に古い街、ポルヴォー。川岸の赤い倉庫群の向こうに、ポルヴォー大聖堂の三角屋根が見えます。大聖堂がそびえる丘のふもとには、黄色やブルーやピンクのパステルカラーの木造の建物が並び、18世紀につくられたポルヴォーの旧市街が今も大切に残されています。
どこを切りとっても絵になる可愛い街並み。丸い石が敷き詰められた石畳の小道を歩けば、フィンランドの古き良き時代へタイムトリップ。雑貨屋さんやカフェ、チョコレート工場、人形とおもちゃの博物館や、地元や国内の作家たちのハンドクラフトショップ、デザインショップなどなど。観光客でにぎわう旧市街のショッピングやカフェめぐりは、心もパステル色に染まります。

目抜き通りのヨキ通り〈Jokikatu〉からは、赤い倉庫をリノベーションしたレストランやカフェに入ることもできます。赤壁倉庫の並びに建つ、1902年につくられた4階建の赤レンガ倉庫は、今ではカフェ&バー ポルヴォーン・パーハティモ〈Bar & Cafe Porvoon Paahtimo〉になっていて、自家焙煎のコーヒーと川沿いの小舟のテラス席が人気。

旧市庁舎とマーケット広場

ポルヴォーを訪れたのは6月半ばの土曜日。この日は何か特別なイベントの日だったのか、観光客がいっぱいで、旧市街の人たちはみんな民族衣装のようなものを着て、お客さんをもてなしていました。街の雰囲気は中世そのもの。貴族の衣装を着た人と馬車のあとをついていったら、ひらけた石畳の広場へ出ました。
広場に建つパステルピンクの時計塔の建物は、ポルヴォー旧市庁舎。1762年に建てられたフィンランドで最も古い市庁舎なのだとか。現在はポルヴォー歴史博物館〈Porvoon Museo〉になっていて、ポルヴォーほか東ウーシマー〈Uusimaa〉地方の歴史、絵画、中世の衣装や家具、テキスタイルや陶器、ジュエリーなどが展示されています。愛らしい旧市庁舎は、実はちょっとだけ傾いて建っているそう。

旧市庁舎前の広場では青空マーケットが開かれていました。雑貨や絵画、ハンドクラフト、アクセサリーなどのお店が出ていて、フィンランド風クレープに並ぶ、民族衣装のおばあちゃんたちが可愛くてたまりません。それから、サウナ大好きなフィンランドの人たちに欠かせない、白樺の葉っぱも売ってました。サウナの中で体をパタパタ叩いてマッサージするヴィヒタ〈vihta〉は、初夏に出てくる白樺の若葉を集めて束ねたもの。
ポルヴォーのマーケットは大きくはないけれど、なんともいえないほほえましい雰囲気につつまれています。なんだかすぐに広場を通り過ぎてしまうのはもったいない気がして、クレープ屋のおばあちゃんたちの後ろに並んだのは言うまでもありません。

ポルヴォー大聖堂

青空マーケットが開かれる旧市庁舎前広場から、石畳の坂道をのぼると、丘の上のポルヴォー大聖堂〈Porvoon tuomiokirkko〉が見えてきます。15世紀初頭に建てられてからポルヴォーの街を見守りつづけてきた大聖堂は、真っ白な漆喰〈しっくい〉の壁と山形の切妻屋根がとても印象的。これまで5回もの火災に見舞われたそうですが、そんな傷跡をまったく感じさせないほど美しくたたずんでいました。 ゴシック様式の大聖堂の中には大きなパイプオルガンがあり、とんがったアーチの天井には星型模様の装飾が施され、黄金のシャンデリアが飾られていました。

大聖堂前の通りには、ポルヴォーに来たら忘れてはならないパステルピンクの小さなチョコレート工場があります。小さくて、かわいくて、おいしいチョコ。ピエニ・スクラーテヘダス〈Pieni Suklaatehdas〉はその名の通りチョコレート工場なので、オープンキッチンからチョコづくりの様子も見学できます。チョコめぐりしたいなら、旧市街にある1871年ポルヴォーに創業したもうひとつの老舗チョコレート店、ブルンバーグ〈Brunberg〉にもぜひ行ってみて!

ヘルシンキからポルヴォーへの小旅行は、半日あれば十分楽しめます。旧市街は小さな街なので、道に迷うこともありません。どの道も自然と大聖堂へたどり着くようにつながっているのだとか。まあるい石畳や赤い倉庫の川辺をのんびり歩きながら、パステルカラーのような淡い気持ちで、フィンランドの昔と今を感じてください。


後編へつづく →

Porvoo

Finland

ヘルシンキ中央駅

アクセス
                    カンピショッピングセンター〈Kamppi Center〉
地下のバスターミナルから
ポルヴォー行きの長距離バスに乗って
約1時間。 

Visit Porvoo
www.visitporvoo.fi


Porvoo 2

ルーネベリタルト
- 後編 -

フィンランドの国民的スイーツ
ルーネベリタルト


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