Rosendals Trädgård

ローゼンダール・ガーデン

王立公園〈Kungsträdgården〉から水色の7番トラムに乗って、ユールゴーデン島〈Djurgården〉へ。「動物の庭」という意味のこの島は、昔スウェーデン王家の狩猟場や別荘地だったそうで、今も自然が多く残る美しいみどりの島。北方民族博物館〈Nordiska Museet〉、ヴァーサ号博物館〈Vasamuseet〉、野外博物館スカンセン〈Skansen〉を通り過ぎて、トラムを降りたのは終点の〈Waldemarsudde〉駅。そこからは「Rosendal」と記された看板をたよりに、歩いて森の木立の中を抜けてゆきます。

どうしても訪れたかった場所、ローゼンダール・ガーデン〈Rosendals Trädgård〉
ストックホルム旅行のハイライトともいえるこの広大な庭園には、人と自然がつながり、めぐりゆくことのヒントがつまっていました。 

 2010 Photo & Text_Scandinavian fika.

Rosendals Trädgård

ローゼンダールのお城のお庭

ローゼンダールのお城の「庭」という意味の「トレードゴード 〈Trädgård〉」。日本では「ローゼンダール・ガーデン」として紹介されています。ストックホルム中心地からトラムに揺られること約20分。緑につつまれたユールゴーデン島の森の奥に、5,000ヘクタールにも及ぶ広大な庭園があります。
りんご園や果樹園、野菜畑や花畑、温室を改造したカフェがあって、街の騒音もなく、鳥のさえずりが聞こてきて、とても静か。森を歩いていたら、かわいい野生のリスに出会いました。そう、ここは「都会のオアシス」。スウェーデンの人びとが愛する、みんなの憩いの「庭」なのです。

Rosendals Trädgård

貴族のバラ園から、市民の庭園へ

もともとは王家の別荘として建てられたローゼンダール城。美しい英国式のバラ園で、歴代の王様たちが好んで夏を過ごしたとか。今は財団によってユ−ルゴーデン島の自然が保護され、「ローゼンダール・トレードゴード」を愛するガーデナーたちの手によって「庭」がつくられています。
休みの日を楽しみしてここを訪れる家族や恋人たちは、緑の島を歩きながら森林浴をして、りんごの木の下でおいしいランチを食べ、芝生や木陰で寝そべりながら、自然と溶け合うように体をリフレッシュします。
このひらかれた庭園は、生きることの素晴らしさと、自然との関わり方を教えてくれます。

バイオダイナミックで育てた花と野菜

ローゼンダール・ガーデンには、菜園やリンゴ園、ハーブ園やバラ園、花畑や野菜畑や小麦畑があり、シュタイナーの提言した「バイオダイナミック」という農法で畑がつくられ、野菜や植物が育てられています。
ここで働くスタッフはみんな、いきいきして楽しそう。この場所が好きなインターンの研究生やボランティアも手伝いに来てくれます。
日本の市民農園との大きな違いは、果樹園や畑があっても、ここが「ファーム」ではなく、「ガーデン」だということ。美しさと安らぎがどれだけ近くにあるか。北欧の人たちにとって、「庭」は自然との距離を確かめる大切な場所なのです。

ローゼンダール・ガーデン・カフェ

温室を改造したオープンエアーのすてきなカフェ。オープンの11時近くになると、畑で採れた旬の野菜やハーブをふんだんに使ったオーガニック料理や、石釜で焼いた自家製パンを目当てに人がぞろぞろと集まってきます。
肉の煮込みや魚の酢漬けなどの伝統的な北欧料理とは違い、ここのメニューは、彩りの美しさ、たっぷりしたボリューム、まずは見て楽しめることが基本。大切なのは、森や畑でおいしい空気を吸うように、食べて元気になること。それが、おいしさの秘密。

焼き菓子には、お花を添えて

カフェのランチはセルフサービス。テーブルにはサンドウィッチやシナモンロール、ケーキやタルトやクッキーが並び、焼き菓子の上には庭で摘んできた花が添えられ、彩りも豊か。ついつい、水色のトレイにあれもこれもといっぱい乗せてしまいます。黒板にスウェーデン語で書かれた「TODAY'S LUNCH」は3種類。キッチンで調理してから出てきます。

「Today's Lunch」は、野菜とチーズのサンドウィッチ、ミックスナッツ入りのシナモンロール、リンゴのケーキに、ミネラルウォーターの炭酸水。これだけでもボリューム満点。焼きたて採れたてのパンと野菜が美味で、濃厚なチーズとマッチ。おいしいと評判のシナモンロールは甘さも香りもGood!
ローゼンダールのりんごのケーキは素朴でなつかしい味。スウェーデンの子供たちはみんな好きだなあ、きっと。もうピクニック気分で、ランチを満喫。

Rosendals Trädgård rose cake

Vad passar bättre på Rosendals Trädgård än en sockerkaka med rosenblad? Följ skapandet från blad till kaka i det fina lilla bageriet bakom butiken! A rose is a rose is rose cake. Usually served in the café with no secrets revealed, here you are invited behind the scenes to follow Helena in the making of a sponge cake like no other.

©︎ Homegrown Swedes

りんごの木の下

温室のカフェの中にもテーブル席がありますが、庭のテラスや芝生の上で食べたりと、みんな陽にあたりながら大自然の中でランチを楽しみます。ぽかぽかして気持ちがよかったので、りんごの木の下で大きなサンドウィッチをほおばりました。夏の日差しはかなり強いですが、木陰に入るとその暑さが嘘のように、ひんやりとした風が吹き抜けて心地よいです。
ローデンダール・ガーデンのロゴにもなっているこのリンゴ園は、秋になると小ぶりの赤や緑の実がたわわに実り、甘い香りがいっぱいに漂うそうです。

ローゼンダール・ブティーケン

カフェの隣にあるお店、ローゼンダール・ブティーケン〈Rosendals BUTIKEN〉。店内は焼きたてパンと焼き菓子の香ばしい香り。腰の強いオーガニック粉を使って石釜で焼いた自家製パンはずっしりと重く、中はもっちりと噛みごたえがあり、酸味と甘みが絶妙で絶品! 極薄に焼いたパリパリの焼き菓子やクネッケにも魅かれます。
その他、オーガニックのジャムやハチミツ、紅茶や調味料、キッチン用品、レシピ本などもいっぱい売ってます。おみやげに、木のバターナイフ付きのマーマレードとジャムと購入しました。

Rosendals Trädgård Levain

Bagaren Linnea Thomsen gör levainbröd med ekologiska råvaror i den vedeldade ugnen i Rosendals Trädgårds bageri. Baker Linnea Thomsen makes a beautiful levain bread from all organic produce, using the wood-fired oven at Rosendal’s Garden, Stockholm.


©︎ Homegrown Swedes

オーガニック野菜もどうぞ

ブティーケンの入口には、新鮮なオーガニック野菜や果物がお花屋さんのように並んでいます。トマト、レタス、キュウリなどなど……日本で食べている野菜と同じようで少し違う。ピンクのセロリだと思っていたのは「ルバーブ」でした。
〈ホテルの朝食ではじめて食べたルバームジャムもおいしかった!〉
カフェの隣の温室のプランツショップ〈Rosendals PLANTBOD〉では、鉢植えの苗やダリアの切り花などが売っていて、ディスプレイもおしゃれ。ホント、あらゆるところにセンスが光ってます。

ここは旅人の「オアシス」。自然が体をやさしく抱きしめてくれる、最高の庭園。

Rosendals Trädgård

Stockholm|Sweden

ローゼンダール・ガーデン

アクセス
ストックホルム地下鉄中央駅〈T-Centralen〉の
トラム乗り場や
王立公園〈Kungsträdgården〉から
7番トラムに乗って約20分。
終点〈Waldemarsudde〉駅で下車。
駅から森の中を徒歩約10分。

rosendalstradgard.se

SKANSEN

スカンセン

世界初の野外博物館


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