Insjön

インショーン

ダーラナ・インショーンの旅

ストックホルムから北西へ250km。ダーラナのレクサンド〈Leksand〉から南へ8kmのインショーン〈Insjöns〉の町に、手芸好きにたまならい2つの場所があります。
インショーンの森の中で誰もが編み物、刺繍、織物、縫製を学べる、セーテルグレンタン手工芸学校〈Sätergläntan hemslöjdens gård〉。 
20世紀初期の古い織り機で、ダーラナ地方の伝統を守りながら美しい織物がつくられるインショーンス・ヴェーヴェリー 〈Insjöns väveri〉。

糸と布の織りなすストーリー。ダーラナ手芸の旅。

2019 Photo & Text_Scandinavian fika.

Insjön

セーテルグレンタン手工芸学校

ストックホルムから車に乗って北西へ250km。世界でいちばん大きなダーラナホースがいるダーラナ南部の町 アーヴェスタ〈Avesta〉を過ぎて、ヘーデモーラ〈Hedemora〉、ボーレンゲ〈Borlänge〉の町を抜け、インショーン〈Insjöns〉の町へやってきました。
エステルダール川近くの針葉樹の森の奥へと進むと、山の上に古い木造の赤い建物が見えてきます。そこは手芸と工芸のハンドクラフトの学校、セーテルグレンタン手工芸学校〈Sätergläntan hemslöjdens gård〉。 スウェーデン・ダーラナ地方の伝統的な編み物、刺繍、織物、工芸などを学べる人気の学校です。
セーテルグレンタン手工芸学校には豊富な品揃えの手工芸ショップもあって、学生でなくてもお土産や手芸の道具を買うことができます。良質なスウェーデンの毛糸や、スウェーデンの編み物の本、スウェーデンの手織りバンドも素敵。木工細工のような手織りバンドの道具もここで手づくりしているそう。木彫りの鳥や人形もかわいい。手工芸ショップの前には、かかしみたいなカラフルなアートが3つ立っていて、とっても愛嬌がある。こんな大自然の森の中でリラックスしながら手芸に没頭できるだなんて、なんて贅沢な時間!

スウェーデン手工芸のサマーコース

自然豊かな環境の中で、誰もが手工芸を学べるセーテルグレンタン。
ダーラナ地方の伝統模様の織物やウールの刺繍、編み物のステッチやパターン、民族衣装の縫製、衣服のドレープの裁断、白樺のバスケットの三つ編み、木のスプーンや器のハンドクラフト、金属のシャンデリアや燭台づくりなど、さまざまな手芸・工芸の専門的なコースがあって、短期(5日間)のサマーコースは手芸好きの日本の女性たちにも人気です!
朝から晩まで夢のような手芸合宿。授業は英語とスウェーデン語。学校には宿泊施設も完備されていて、個室やベッド、3食の食事も用意されています。午前と午後にFIKA(フィーカ)があって、FIKAのお茶の時間は手を休めて、コーヒーとお菓子でおしゃべりに花を咲かせるのだとか。

セーテルグレンタンのカフェ

セーテルグレンタン手工芸学校には地産地消のカフェ(学食)があり、学生でなくてもカフェでランチを食べることができます。カフェはビュッフェスタイルで、新鮮な野菜のサラダやデリ、自家製のパンやスープが味わえます。カフェのインテリアもユニークで、学生たちが作った作品がいろんなところに飾られています。手織りのテキスタイルの織物やハンドメイドのシャンデリア、木工家具、料理の並ぶテーブルにはハンドクラフトのスプーンやボウルやバスケットが……。
この地で人の手から生まれたものが、わたしたちの体をつくる食べものとつながっている。 素敵だと惹かれたものが、日々の暮らしの道具になっていると、あらためて気がつく瞬間。

セーテルグレンタン手工芸学校のカフェの奥の部屋をちょっとだけ覗いたら、3人の生徒のおばあちゃんが編み物を学んでいた。 授業を受けている感じではなく、黙々と好きな模様を一目一目編みながら、手と頭と心で学んでいた。
学ぶ人の姿が好きだ。あのおばあちゃんたちには、まだまだ 無邪気な子供のような香りが残っている。

インショーンス・ヴェーヴェリー

セーテルグレンタン手工芸学校の近くにある1947年創業の王室御用達の織物メーカー、インショーンス・ヴェーヴェリー 〈Insjöns väveri〉へ。
さまざまな織りのパターンは何世紀にもわたる伝統があります。スウェーデンの民族衣装の織物などを昔ながらの方法で復活させたインショーンス・ヴェーヴェリー。ショップには、ダーラナのレクサンド〈Leksand〉地方の伝統的なリネンの布やテーブルクロス、テーブルランナーが並びます。
隣の織物工場で小気味良いリズミカルな音を響かせていたのは、1920年代に製造されたスイス製の古い電動織り機。手織りに限りなく近いという古い織り機で、ダーラナ地方の伝統を守りながら美しい織物が今もつくられています。
ヨーロッパにもほとんど残っていないという貴重な織り機が17台、今ここで動いていることこそ、奇跡みたいなもの。

リネンのクロス

夏至祭前日なので、インショーンス・ヴェーヴェリーのスタッフの女性が華やかなダーラナの民族衣装を着てお出迎えしてくれました!
赤いスカートとストライプ模様のベスト。ブルーのエプロン、刺繍が施された腰のポシェット。ハレの日にまとう民族衣装は、ダーラナ地方の村ごとに美しい衣装あって、色や模様を見ただけで、どこの村の出身なのかわかるのだそう。

インショーンス・ヴェーヴェリーのショップで、お土産にリネンのクロスを2枚選びました。春夏の白いテーブルクロスと、秋冬の赤いテーブルクロス。織模様は白いクロスには銀色、赤いクロスには金色の色糸が使われていて、光沢があって素敵。

20世紀初期の古い織り機で作られたクロスの幾何学模様が、どこか神聖なものに感じられる。テーブルにダーラナのリネンを広げた食卓は、きっとノスタルジー。スウェーデンの清らかな空気を思い出すだろう。

Insjön

Dalarna|Sweden

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アクセス
レクサンドから南へ車で約8km

セーテルグレンタン手工芸学校
www.saterglantan.se

インショーンス・ヴェーヴェリー
www.insjonsvaveri.se

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スウェーデンの水彩画家
カール・ラーションの家


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