My Scandinavia 2

北欧フィーカのはじまり
これまでの活動

わたしと北欧 - 後編 -

2020 Photo & Text_Scandinavian fika.


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My Scandinavia 2

1|北欧フィーカのはじまり

2010年の夏に初めてスウェーデンのストックホルムと、デンマークのコペンハーゲンを旅したあと、撮影した写真に日記をつけてWEBサイトを作ろうと思いました。
当時はほとんどの人がブログで旅日記をつづっていましたね。わたしはブログだと広告が入ることと、新しい記事ばかりが目立って古い記事が埋もれてしまうのが嫌で、自分でWEBサイトを html+css でプログラミングして作りはじめました。ぜんぶ独学ですね。
WEBサイトを作るときに参考にしたは、本や雑誌です。ずっと本を作ることや、エディトリアルデザインに憧れがあったので。
いちばん影響を受けたのは、セキユリヲさんの『サルビア北欧日記』ですね。人気のお店や観光スポットを紹介した情報満載の旅のガイドブックが多く出版される中、『サルビア北欧日記』は装丁から手帖のように素敵なデザインでした。旅人の目線で、ほんとうに良いものだけを選んで、やさしい日記のように伝えていました。わたしもこんなふうに、ナチュラルな旅日記をつづりたいと思いました。

2011年3月にサイトを公開したとき、同時にTwitterもはじめました。SNSの影響力はとても大きかったです。日本だけでなく、海外からもたくさんのアクセスがあり、北欧在住の日本人の方たちも見てくださって嬉しかったです。北欧が少し近くなったような、そんな気持ちになりました。

【北欧フィーカ WEBサイト アクセス数】
2011年〜2020年|100万ユーザー・350万 PV

2|ムーミンの手紙

2011年秋、手書きのムーミンのイラストを添えた手紙を書いて、WEBに公開しました。
〈北欧フィーカ〉では自分のプロフィールをまったく公開していなかったので、手書きの手紙が、わたしの唯一の自己紹介みたいなものでしたね。趣味でひとりで活動していることに驚いた人がたくさんいて。興味を持ってくれて。それから、北欧のお仕事に携わる方々(日本や北欧)からもコンタクトをいただくようになりました。
ちなみにムーミンのイラストは、北欧に行くのが夢だった頃、コピー用紙の裏に描いていた落書きです。スナフキンやミイも描いたけど、下手すぎて見せられません。
たった一度だけ、何となく素直に描けた ムーミン。
今思うと、あの瞬間が、わたしの人生のターニングポイントだったかもしれません。

北欧フィーカ|2011年の手紙

3|思ひ出のポストカード

2013年にスウェーデン中部のダーラナ地方を旅しました。スウェーデンの原風景が今も残るダーラナを旅することはずっと夢だったので、今でも、あの時の感動がよみがえります。
ダーラナの小さな村ダーラフローダのことを大好きになって、 2014年春に旅日記〈ダーラフローダ編〉を公開しました。そのあと、ダーラナのことを日本のみなさんにもっと知ってほしいと思ってつくったのが「思ひ出のポストカード」です。
これは北欧の旅の思ひ出を切りとった〈北欧フィーカ〉オリジナルのポストカードで、最初はダーラフローダの赤い家(手工芸店)と木彫り馬のダーラヘスト(ダーラナホース)の2種類のカードからはじまりました。

全国のいろんな町へ、いろんな人へ、カードを届けられたらいいなと思って、すべて無料で配布をはじめました(※制作費、印刷費、郵送費、活動費はすべて自費)
はじめに、スウェーデン大使館さんとスウェーデン観光文化センターさんが〈北欧フィーカ〉の活動を応援してくださって、スウェーデン大使館公認のサポーターとして、SNSで紹介してくださったり、毎年スウェーデン大使館で開かれるクリスマスバザーでポストカードを配布してくださいました。言葉にならないくらい嬉しかったです。

その後、ポストカードの種類はフィンランドやデンマークなど少しづつ増えていき、日本の北欧雑貨を取り扱うショップやカフェ、北欧旅行会社、北欧イベント、蚤の市、映画館、書店、大学の学生さんにもご協力いただき、WEBを見てくださる個人のファンの方々への郵送もふくめ、全国へ5万枚のカードを配布させていただきました。

【思ひ出のポストカード 全国配布数】
2014年6月〜2018年12月| 50,000枚 


北欧好きのたくさんの人たちが〈北欧フィーカ〉の活動を応援してくださって、リレーのようにバトンをつないでくれて。たくさんのカードを届けられたこと、ほんとうに感謝の気持ちでいっぱいです。

北欧フィーカ|思ひ出のポストカード|ダーラフローダ
北欧フィーカ|思ひ出のポストカード|ダーラヘスト

4|手紙社と北欧市

2014年秋からは〈手紙社〉主催の「東京蚤の市」に参加させていただきました。「東京蚤の市」の中で「北欧市」という企画が動きはじめたころで、〈北欧フィーカ〉のWEBサイトを見てくださった〈手紙社〉さんからお誘いをいただき、イベントへの出店経験もないのに「北欧市」に参加させていいただくことになりました。
わたしは手紙社さんの世界観がずっと好きで、「東京蚤の市」や「もみじ市」はお客さんの一人としてイベントへ行っていました。だから、お誘いがあったときは本当にびっくりしました!「北欧市」の出店者さんは、わたしが好きなお店ばかりです。全国から素晴らしい作家さんや人気のお店が集まる中で、わたしでいいのかな?と。でも、1日に何万人も訪れる大規模イベントで、北欧をもっと好きになってもらえるきっかけをつくれたらと、はじめてWEBを飛び出して出店を決めました。
〈北欧フィーカ〉はお店やネットショップではないので商品の販売はありません。だから、「思ひ出のポストカード」を「北欧市」の来場記念として毎回数量限定でプレゼントさせていただきました。

【手紙社 主催イベント参加】
- 東京蚤の市・北欧市(2014年 第6回から 2018年 第14回まで参加|東京オーヴァル京王閣)
- 関西蚤の市・北欧市(2014年 第1回から 2018年 第5回まで参加|JRA阪神競馬場)
- 東海蚤の市・北欧市(2016年| JRA中京競馬場)
- 真夏の東京蚤の市(2017年|大井競馬場)
- 湖畔の北欧市 メッツァビレッジ(2019年|ムーミンバレーパーク)
- 紙博in仙台
(※2020年3月に参加予定でしたが、コロナウィルスの影響で開催中止となりました)

手紙社|2015 東京・関西北欧市 ポスター
illustration_ 小池ふみ
手紙社|2016 東京・関西・東海北欧市 ポスター
illustration_ 小池ふみ
手紙社|2018 東京北欧市 ポスター
illustration_ くのまり
東京北欧市|北欧フィーカのポストカードボード

はじめての「東京蚤の市」では手紙社さんが北欧市の会場に大きな〈北欧フィーカ〉のポストカードボードを作ってくれて、すっごく感激しました!お客さんが好きなカードを選んでボードからはがして持っていくスタイルが楽しかったです。
北欧のことをまったく知らない小さな女の子が、シナモンロールのポストカードを手にとって喜んでくれた時も嬉しかったですね。カタチもかわいい北欧のシナモンロールには、とても可能性を感じました。

北欧フィーカ|思ひ出のポストカード|カネルブッレ
北欧フィーカ|スプリンガレの活版コースター

5|ぬり絵カード

「東京蚤の市」の会場は東京オーヴァル京王閣。〈北欧フィーカ〉の出店場所のとなりが来場者用のキッズルームで、たくさんの親子を見かけました。「北欧市」の会場の出店者ブースには、高価な北欧ヴィンテージがたくさん並んでいて、小さい子供が陶器などの割れものにさわろうとすると、「ダメ!」とお母さんにしかられることが多くて。それを見ていたら、親子でいっしょに北欧ヴィンテージのデザインにふれて、楽しめるものはないかなと思って。
それで作ったのが、北欧ヴィンテージの器をイラストにして描いた「ぬり絵カード」です。北欧ヴィンテージはなかなか手にできないけど、ぬり絵なら器に絵付けするような気持ちで好きな色を塗って、親子で楽しめるかなと思って。
「北欧ヴィンテージ ぬり絵カード」も「思ひ出のポストカード」と並べて、来場者の皆さんへ無料でプレゼントしていました。
毎回ものすごい人で活気にあふれる「東京蚤の市」や「関西蚤の市」。 あの素敵なものであふれた空間と熱量の中にいられたことは幸せです。素晴らしい機会を作ってくださった〈手紙社〉代表の北島さん、鳥田さん、小池さんほか、手紙社スタッフの皆さんには本当に感謝しています。

北欧フィーカ|北欧ヴィンテージ ぬり絵カード
北欧フィーカ|ぬりえ帖

6|北欧フィーカのお手伝いさん

東京蚤の市・関西蚤の市では〈北欧フィーカ〉のお手伝いさん(イベントサポーター)を募集しました。
たくさんご応募をいただいた中で、東京会場では長野県から、関西会場では愛知県からの参加もあり、北欧が好きということが伝わってきて、お手伝いしてくださった22名の皆さんとお会いできて嬉しかったです。
北欧市では1日数名の方といっしょに出店ブースに立って、「思ひ出のポストカード」などのカード配布のお手伝いをしてもらうのですが、堅苦しい接客ではなく、フレンドリーに客さんとの接してほしいとお願いしました。自然な接し方は、わたしよりも彼女たちの方がずっと上手でしたね。北欧のちょっとした言葉を交わすだけで、心がほぐれて。笑顔があふれていました。
北欧留学経験がある人も多くて、ブースは北欧好きの楽しい交流の場でもありました。北欧から帰国してもなかなか北欧の話をできる友達が近くにいない、という悩みがみんなあるみたいで。お互いの北欧での体験談を興味深く聞いていましたね。その雰囲気が来場者のお客さんにも伝わって、とてもよかったと思っています。
短い時間でしたが、世代の違う女性たちから北欧の話を聞けて楽しかったですね。東京会場では Izumiさん、関西会場では Ayakaさんに毎年サポートをしてもらって、とても感謝しています。北欧市のあとに、フィンランドのヘルシンキに留学した Chiakiさん、スウェーデンのエーランド島に留学した Marinoさんからは、写真や手紙で現地の北欧の暮らしを届けてくれました。
お手伝いに参加してくれた皆さんは、ずっと〈北欧フィーカ〉のSNSを見てくれていて、今でもつながりがあることをとても嬉しく思っています。

スウェーデン・エーランド島から届いた手紙

7|つくり手との出会い

〈北欧フィーカ〉ではこれまで、いろいろな作家さんとコラボさせていただき、特集を組んだり、プレゼント企画をさせていただきました。真摯にものづくりに励む作家さんたちと接することができるのは、ほんとうに素晴らしい経験でした。
そして、個人で創作活動をされている素敵な作家さんたちとの出会えたことは、北欧フィーカを続けてきてよかったと思ったことのひとつです。

「つくり手との出会い」については「SPECIAL」ページでまとめています。

SPECIAL →

イイダ傘店|「こもれび」の日傘

イイダ傘店

北欧のテーマ以外で、はじめて特集を組ませていただいたのが〈イイダ傘店〉さん。春・秋の新作の傘の展示受注会に伺ったり、アトリエを見学させていただいたりして、作家の飯田純久さん、ディレクター・プレスの髙山真衣さんに傘づくりについて、たくさんお話を聞きました。
取材というよりも、友人に会いに行くような、そんな感じ。お二人のお人柄に、言葉ではあらわせない、イイダ傘店のあり方が伝わってきました。傘のデザインが素晴らしいだけでなく、傘の部品や布をつくる職人さんたちへの尊敬の念が伝わってきて、傘を工芸品のように感じました。
わたしは「こもれび」の日傘をひとつ持っています。「こもれび」模様が美しい傘で、傘に包まれているような世界観がありました。日傘の写真を撮って送ったら、とても気に入ってくれて。イイダ傘店のオフィシャルサイトや、イイダ傘店15周年記念展覧会「翳す -かざす-」の案内状に写真をつかってくださって。ほんとうに嬉しかったですね。

ANTOLPO|ダーラフローダのミトンのクッキー

8|ダーラフローダのミトンのクッキー

2018年はスウェーデンと日本の外交関係樹立150周年の記念の年でした。150周年のアニバーサリーのクリスマスプレゼントに、アイシングクッキー作家のANTOLPO(アントルポ)の小倉千紘さんにお願いして特別に作っていただいたのは、スウェーデン・ダーラナ地方の小さな村ダーラフローダのミトンのクッキー。村の伝統的なウールの刺繍を美しく再現したミトンのアイシングクッキーは、食べてなくなってしまうのが惜しいくらいファンタスティックな作品でした。
この作品は東京のスウェーデン大使館にも展示いただき、ダーラフローダの人たちもとても喜んでくれて、村の掲示板にはミトンのクッキーの写真が飾られました。150年つながった糸を紡ぐように、想いが、日本とスウェーデンを結んだ瞬間でした。

Photos_Naoko Akechi

9|サンナのすてきな北欧スタイル

2018年6月にNHK BSプレミアムで放送された『サンナのすてきな北欧スタイル』 。スウェーデン・ストックホルムで、リンゴの木に囲まれた古民家に暮らすフードスタイリストのサンナさん〈Sanna Fyring Liedgren〉の番組。
わたしは友人のサンナからのお知らせを聞いて、〈北欧フィーカ〉で『サンナのすてきな北欧スタイル』のテレビ番組の紹介をさせていただきました。
サンナとわたしをつなげてくれたのは、スウェーデン在住のコーディネーター・明知直子さん。わたしの大好きなフォトグラファーでもある明知直子さんは、旦那さんの明知憲威さんとさまざまな北欧の仕事やプロジェクトに携わり、『北欧スウェーデン 暮らしの中のかわいい民芸』という本も出版されています。いつもわたしのスウェーデンの旅をサポートしてくださって、いろんなきっかけをつくってくださった素敵なご夫婦。出会いに、とても感謝しています。
番組放送後にストックホルムから「ありがとう!」とサンナの手づくりのジャムがいっぱい届きました。 ホームメイドのブルーベリー&ラズベリーのジャムは、スウェーデンではクイーンジャム(女王さまのジャム)と呼ばれています。わたしは友人や番組を観てくださったファンの方へ、クイーンジャムをプレゼントでおすそ分けしました。
2019年6月には念願叶って、ストックホルムのサンナのおうちへホームステイしました。キッチンやジャムのアトリエ、ジャムを煮る大きな銅鍋を見せてもらって、お菓子を焼いたり、庭で「ヤンソンの誘惑」というのスウェーデン料理を食べたり。夢みたいだったな。自然体のサンナさんがほんとうにすてきでした。

2021年春。〈北欧フィーカ〉の10周年記念のお祝いに、サンナがまたホームメイドのジャムをつくってくれます!スウェーデンからどんなおいしいジャムの贈りものが届くのか、待ち遠しくてたまりません。
日本から北欧、北欧から日本へ。これからも、「贈りもののリレー」はつづくのです。