Gustavsbergs
Porslinsmuseum

グスタフスベリ陶磁器博物館

グスタフスベリの旅 - 前編 -

ストックホルムから東へ20km。スルッセン〈Slussen〉から赤いバスに乗って見えてきたのは、ヨットハーバーと古いレンガの建物が並ぶ小さな港町、グスタフスベリ〈Gustavsberg〉
北欧ミッドセンチュリーを代表する陶器ブランドとして黄金期を築いたグスタフスベリには、名作陶器が展示された博物館や、アンティークショップ、アウトレットショップがあり、世界中で愛されつづけるスティグ・リンドベリ〈Stig Lindberg〉の器や、リサ・ラーソン〈Lisa Larson〉の愛らしい動物たちのフィギュアが、今も工房で焼かれています。

「陶器の町」グスタフスベリをめぐる旅。

2013 Photo & Text_Scandinavian fika.

Gustavsberg 1

陶器の町、グスタフスベリ

スルッセン〈Slussen〉駅からバスに乗って約30分。ファルスタ湾の湖に面した小さな港町グスタフスベリ〈Gustavsbergs Hamn〉が見えてきます。
1640年、ストックホルム近郊の港町にできたレンガ工場は、1825年に陶器メーカーとして生まれ変わり、「陶器の町」グスタフスベリ〈Gustavsberg〉として発展してきました。1917年に迎えられた「スウェーデンの工芸デザインの父」ヴィルヘルム・コーゲ〈Wilhelm Kåge〉が、30年以上にも渡りアートディレクターをつとめ、グスタフスベリの名を世界的なものに押し上げると、1942年にはコーゲのアシスタントを努めていたスティグ・リンドベリ〈Stig Lindberg〉と共にグスタフスベリ・スタジオを設立。1950年〜70年代の輝かしい一時代を築きました。
リンドベリの葉っぱの器しか知らなかった、初めてのグスタフスベリの旅。水辺の景色と赤レンガの町を見た瞬間から、それは、陶器に込められたスウェディッシュ・デザインを知る旅となりました。

Stig Lindberg|Fajans

グスタフスベリ陶磁器博物館

グスタフスベリが創設された1825年からの名作食器やアート作品が年代順に展示された、グスタフスベリ陶磁器博物館〈Gustavsbergs Porslinsmuseum〉。リンドベリの器からリサ・ラーソン〈Lisa Larson〉のフィギュアまで。世界中から今も愛されつづける北欧ミッドセンチュリーの器や、貴重なアートピースを見ることができます。
博物館はもともとグスタフスベリ社の工場だった建物を再利用したもの。スカンジナビアアートの代表として一時代を築いたグスタフスベリ陶器工場は、1970年代に経営危機に陥り、1987年に買収され、工場は閉鎖されました。けれども、リンドベリの作品をはじめとするグスタフスベリの名作陶器は、世界中の愛好家からの強いリクエストにより復刻されました。
「永遠のミッドセンチュリー」として愛される器が美しいのは、スウェーデンの日用品の中に「暮らしの美」が宿っているから。ヴィルヘルム・コーゲからスティグ・リンドベリへと受け継がれたデザインとは、人びとの暮らしを明るく豊かにするもの。身近で、使いやすく、いつまでも長く愛されるものだったのです。

1996年に新会社グスタフスベリ・ポスリーンが設立され、現在はリンドベリの復刻版や、伝統の復興に力を注いでいるそうです。リンドベリの陶板が飾られたグスタフスベリ・スタジオは、その後リサ・ラーソンのリプロダクションを生産する工房となり、今は若手作家のアトリエとして使われているのだとか。

Lisa Larson

リサ・ラーソンの工房とアンティークヒーゼット

グスタフスベリ陶磁器博物館の1階には、リサ・ラーソンのフィギュアやグッズが買えるミュージアムショップがあります。受付の奥には、お皿やマグカップに絵付けできる体験教室もあって、絵筆が並んでいました。器にオリジナルの絵付けをしたら、グスタフスベリの窯で焼いてくれるみたい(ただ、焼き上がるまでに何日もかかるというウワサも……)

博物館のとなりには、リサ・ラーソンの工房 ケラミーク ストゥディオン〈Keramik Studion Gustavsberg〉があります。小さな工房ですが、お馴染みのリサのフィギュアができるまでの作業工程を見学することができます。リサ・ファンなら工房近くのアンティークショップ「Värmdö Antik」も必見!リサのアイテムの品揃えは世界一とも。
そして忘れてはならないのが、グスタフスベリの敷地内の小高い丘の上に建つアンティークショップ、アンティークヒーゼット〈Antikhuset〉。1850年頃からのアンティークが並ぶ店内では、コーゲやリンドベリの名作ほか、黄金期のグスタフスベリ陶器工場で彼らと共に活躍した「ろくろの魔術師」バーント・フリーベリ〈Berndt Friberg〉や、コーゲの最後の弟子カーリン・ビョルクヴィスト〈Karin Björquist〉の作品に出会うことができます。

グスタフスベリ・アウトレット

バスの通りから見える、赤レンガの三角のギザギザ屋根。その昔、工房だったレンガ造りの建物は、グスタフスベリ・アウトレット〈Gustavsbergs Porslinsfabrik〉。お馴染みの錨のロゴと「Butiken」と書かれた小さな入口の扉をあけると、リンドベリの器がずらり!山積みになっています! 憧れの北欧食器が、お手頃な価格〈日本の復刻版と比べると半額くらいの安さ〉で買えちゃうのは魅力ですが、アウトレット品なので模様のかすれやズレがあるものが多いです。山積みの中から、できるかぎり良い物を探しましょう。
グスタフスベリ陶磁器博物館を見学したあと、イッタラ〈iittala〉のアウトレットにも行ってきました。イッタラとアラビア〈ARABIA〉のほか、ペルゴラ〈Pergola〉をはじめとするロールストランド〈Rörstrand〉の器もたくさん並んでいました。マリアンヌ・ウエストマン〈Marianne Westman〉のモ ナミ〈MON AMIE〉はおみやげにほしかったけど、ヒョートリエットのロッピス〈蚤の市〉でのピクニック〈PiCKNiCK〉事件のことがあったので、マリアンヌには申し訳ない気持ちでいっぱいでした。「モ ナミ」とすら、まともに目を合わせられなかったです。
あ、そうそう、ロッピスといえば、年に数回グスタフスベリのロッピスも開催されるみたい!

Cafe Tornhuset

シナモンとカルダモンのブッレ

グスタフスベリ陶器博物館を見学して、アンティークショップやアウトレットショップをめぐったあとは、テラスで水辺の景色を楽しみながらフィーカはいかが?
ヨットハーバーがあるグスタフスベリ港沿いに建つ塔のような可愛いレンガの建物。金色のプレッツェルの看板がぶらさがったカフェ・トルンヒュートセット〈Cafe Tornhuset〉。ここのスウェーデン風のシナモンロールのカネルブッレ〈写真〉と、カルダモンブッレはおすすめ!カルダモンのパンなんて北欧に来るまで食べたことなかったけど、スパイシーなカルダモンブッレにすっかりハマってしまいました。
ランチなら、グスタフスベリ陶器博物館のすぐ横にあるビストロ・グスタフスベリ〈Bistro Gustavsberg〉も人気みたい。

グスタフスベリは数時間の観光でしたが、アンティークショップやアウトレットをいろいろ見てまわろうすると、ぜんぜん時間が足りませんでした!ストックホルム中心地からも少し離れているので、時間に余裕を持ってでかけましょう。
ストックホルムのスルッセン〈Slussen〉からバスに乗るので、グスタフスベリからバスで帰ってきたら、日が暮れるまでスルッセンがあるセーデルマルムか、ガムラ・スタンを散策するのがよいかも。

地下鉄スルッセン〈Slussen〉駅の高架下にあるグスタフスベリ行きのバス乗り場はちょっとわかりにくくて、迷ってしまう人も多いです。わかりやすいのは、地下鉄に乗ってスルッセン駅のホームに着いたら、すぐに改札を出ずに、一番下まで階段を降りましょう(※Nacka〈ナッカ〉 Värmdö〈ヴァルムドー〉とサインが出ています)。地下の改札を出ると、ナッカ行きの青い電車や、グスタフスベリ行きのバスターミナルがあります。474番の赤バスで約30分。〈Farstaviken〉駅で下車。

【追記】
2019年現在、スルッセン〈Slussen〉駅は大規模な工事中。さらにバス乗り場がわかりにくくなってるみたい。工事が終わって新しい駅になったら、バスも乗りやすくなるかもしれませんね。


後編へつづく →

Gustavsberg

Gustavsberg|Sweden

グスタフスベリ

アクセス
スルッセン〈Slussen〉駅から
474番の赤いバスに乗って約30分。
〈Farstaviken〉駅で下車。

GUSTAVSBERGS PORSLINSFABRIK
gustavsbergsporslinsfabrik.se

グスタフスベリ陶磁器博物館
gustavsbergsporslinsmuseum.se

Stig Lindberg meets
Lisa Larson

リンドベリの器と
リサ・ラーソンの猫
- 後編-

リンドベリの葉っぱと
リサ・ラーソンの猫のひみつ


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