Loppis

スウェーデンの蚤の市
ロッピス

セルゲル広場〈Sergels Torg〉から北にのびるセルゲルガータン通り〈Sergelgatan〉を通って、ウィークデイは青空市場でにぎわうヒョートリエット広場〈Hötorget〉へ。ノーベル賞授賞式が行われるコンサートホール〈Konserthuset〉前の広場では、毎週日曜日に「蚤の市」が開かれます。
リンドベリのベルサやアダム。リサ・ラーソンの小さな動物園や、マリアンヌ・ウエストマンのピクニック。エリック・ホグランのガラスベースに、シグネ・ペーションのスパイスポット。アンティーク家具から、木彫りのダーラヘストまで。掘り出しものの「北欧ヴィンテージ」がざっくざく!

スウェーデンのフリマ、Loppis〈ロッピス〉へ行こう!

2013 Photo & Text_Scandinavian fika.

Loppis in Hötorget

ヒョートリエットのロッピス

今回のストックホルムの旅の楽しみひとつは、毎週日曜日に開催されているスウェーデンのロッピスを見に行くこと!Loppis〈ロッピス〉とはスウェーデン語で「蚤の市」という意味。朝からスウェーデンのフリマ〈ロッピス〉へ、お宝を探しにでかけます。
地下鉄グリーンライン・ヒョートリエット〈Hötorget〉駅前のヒョートリエット広場では、毎日青空市場がオープン。野菜やキノコやベリーが並ぶマーケットはいつも活気であふれています。市場がお休みの日曜日はロッピスが開催され、大勢の人でにぎわいます。広場の前に建つのは、ノーベル賞授賞式が行われるコンサートホール〈Konserthuset〉。ノーベル賞の晩餐会が行われるストックホルム市庁舎〈Stadshuset〉を見学したあとに、ヒョートリエット広場を訪れるのもよいかも。

それにしても、Loppis〈ロッピス〉という言葉の響きが、可愛くてたまらない。これは「フィーカ」以来の感激。なんか意味なく「ロッピス!」とビックリマークをつけて声に出したくなる、ポップな感じ。日本でもこれから「ロッピス!」が流行ればいいのに。

北欧ヴィンテージを見つけよう

憧れの北欧ヴィンテージ。美しい北欧の器に魅せられて、北欧好きになった人も多いはず。フィンランドにイッタラ〈iittala〉やアラビア〈ARABIA〉があるように、スウェーデンには、グスタフスベリ〈GUSTAVSBERG〉やロールストランド〈Rörstrand〉があります。スティグ・リンドベリ〈Stig Lindberg〉のベルサ〈Berså〉やマリアンヌ・ウエストマン〈Marianne Westman〉のモ ナミ〈MON AMIE〉ように、女性をとりこにするスウェーデンの器たち。
10時開催のロッピスへはちょっと早めに到着。まだ人もまばらなヒョートリエット広場。おじさんたちが組み立てた台にテーブルクロスを広げて、骨董品の品々を並べてゆきます。北欧ヴィンテージといっても、そもそも物の価値がわからない私。本物かニセモノかの見分けもつかないので、ベルサの葉っぱが1つ2つ見つかればいいなぁくらいに思っていたのですが……… ぎゃーー!!葉っぱが出てくる出てくるッ!え?あれは、リサのライオン!こっちはエリック・ホグラン!北欧ヴィンテージがざっくざく。あーッ!どうしよう、人がどんどん増えてきたー!買わなきゃ、買わなきゃ……!!

おみやげに木彫り馬

ロッピスでどんなにたくさんの北欧ヴィンテージを見つけても、もちろん、いっぱい買えるわけではありません。北欧雑貨店の買付け日記を見ても、割れものは特に大変そう。リンドベリのコーヒーカップがほしくても、お値段もなかなか。観光客がターゲットなので、ディスカウントもほとんどありません。でも、日本で買うよりはぜんぜん安い!半額くらいの印象。 エリック・ホグランのガラスベース、シグネ・ペーションのスパイスポットに、後ろ髪を引かれながら、「どうしてスウェーデンクローネ(SEK)をもっと両替しておかなかったんだ!」と自問自答しているうちに、他の誰かがサクサク買っていきます。お宝が戦利品というだけあって、蚤の市は戦場なのです。油断は禁物。いつ何時、背後から「それ、買います」の声が聞こえてくるかわかりません。

スウェーデンのおみやげでおすすめなのは、お馴染みの木彫りのダーラへスト(ダーラナホース)。手のひらにちょこっと乗るくらいの小さな馬から、大きな馬まで。カラーもいろいろ。ロッピスで見つかるダーラへストは色があせたり、耳がかけたりしているものもあるけど、そこがまた愛らしい。「幸運をもたらす馬」として長い間スウェーデンのおうちの窓辺に飾られてきたことを思うと、私にとってはこれが、北欧ヴィンテージ。

初恋のマリアンヌ

タマネギ、赤カブ、ニンジン、エンドウ豆など、ポップな野菜が描かれたマリアンヌ・ウエストマンのピクニック〈PiCKNiCK〉。ロッピスで見つけたピクニックの鍋に一目惚れ。傷もほとんどなく、鍋底には〈Rörstrand〉の刻印が。お値段は500SEK(約7,500円)……ほしい!店のおじさんも「どうだ?うちのマリアンヌは美しいだろう?」と鼻高々です。
スウェーデンのみんなが恋した、愛しのマリアンヌ。甘い初恋の思い出のような、マリアンヌピクニックを手に取ったその時です…………
パリーーーンッ!!
手を滑らして、鍋のフタを落として割ってしまいました!
地面に粉々に割れたフタの破片。それを拾い集めながら
「おお、マリアンヌ……!」と嘆き、悲しむ店のおじさん。
どんなに誤っても、もう傷ついたマリアンヌは戻ってきません。様子を見ていた夫人は「かわいそうなマリアンヌ……」と目を背けます。
とんでもないことをしてしまった私……。
貴重な北欧ヴィンテージを割ってしまっただけでなく、スウェーデンの人びとの淡い恋心にも傷をつけたのです。もうロッピスどころではなくなってしまって……フタのないピクニックの鍋を買って、大事に抱えながらホテルに戻りました。
あのときはかなり凹みましたが、今ではフタのないピクニックの鍋を家で大切に使っています。できれば、これから先もずっと大切にしてゆきたいもの。私にとってはほろ苦い初恋の思い出ですが、フタがないことや、傷さえも、愛おしく思えるときがあります。
店のおじさんが「これも持って行け」と鍋に入れてくれたバラバラのフタの破片。いつか金継ぎして、もう一度よみがえらせたい。

Marianne Westman|PiCKNiCK
Iris Hantverk

イーリス・ハントヴェルク

中央駅へも歩いて10分くらいのヒョートリエットには、ショップやカフェがたくさんあります。ヒョートリエット広場の近くには、最新の北欧インテリアが揃う人気のデパート・プブ〈PUB〉があります。PUBは、スウェーデン生まれのハリウッド女優 グレタ・ガルボ〈Greta Garbo〉が、かつてアメリカに渡る前に働いていたというデパートなのだとか。ガルボの映画ではルビッチの『ニノチカ〈Ninotchka〉』が好き!「笑わない女優」と呼ばれていたガルボが、大笑いするシーンが印象的。

クングス通り〈Kungsgatan〉にある、スウェーデンで100年以上もの歴史を持つ老舗のブラシメーカー、イーリス・ハントヴェルク〈Iris Hantverk〉もぜひ行ってみてほしい!馬の毛やサボテン繊維など、天然素材にこだわったブラシの数々。皮もむけるベジタブルブラシや、きのこのブラシなど、いろんなカタチのブラシが並んでおもしろい。自分用に小さなテーブルブラシを購入。これは、テーブルに上に物を置いて撮影するときに活躍します。
ブラシの他にもスウェーデンのハンドクラフトや白樺のカゴ、雑貨がたくさん。おみやげに、スカンジナビアの木工職人たちによってつくられた、スカンジナビスク ヘムスロイド〈Scandinavisk Hemslojd〉のブレッドバスケットとバターナイフを購入。それから、『麻の大地』と呼ばれるスウェーデン北部の町ヴェクスボで生まれた、ヴェクスボー・リーン〈Vaxbo Lin〉のリネンクロスを買いました。どれもスウェーデンらしさを感じる日用品。使えば使うほど、愛着がわいてきます。

Hötorget

Stockholm|Sweden

ヒョートリエット広場

アクセス
ストックホルム中央駅〈Stockholm Central Station〉
から徒歩約10分。
地下鉄はグリーンラインに乗って
〈Hötorget〉駅で下車。

コンサートホール
www.konserthuset.se

Visit Stockholm
www.visitstockholm.com

Kanelbulle

シナモンロールと小麦粉の猫

カネルブッレとセムラ


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