Ravintola Juuri

ラヴィントラ・ユーリ

エスプラナーディ通り〈Esplanadi〉の南に広がるヘルシンキ・デザイン地区の中心、エロッタヤ〈Erottaja〉地区。
今日のディナーは、ヘルシンキで最も独創的なフィンランド料理「サパス」が味わえる人気のレストラン、ラヴィントラ・ユーリ〈Ravintola Juuri〉へ。

2015 Photo & Text_Scandinavian fika.

Ravintola Juuri

ラヴィントラ・ユーリ

旅先では特別なディナーの日をつくるようにようにしています。その国の郷土料理や家庭料理、旬の食材。ほんとうに美味しいものだけを求めて、旅するのです。 物価が高い北欧では、毎晩レストランでディナーはなかなか……。ひとり旅なので、いつもパン屋やスーパーや市場に買い出しに行って、夜はホテルで食べることが多いです。でも、その日だけは思いきり贅沢をして、とびっきりおいしいものを食べようと決めています。
以前、フルタヨウコさんのレシピ本『今日はどれにする? 北欧のおいしいスープ』を紹介させいただいたとき、出版社の編集者さんにとても良くしていただいて、ヘルシンキのおすすめのレストランを教えてもらいました。

最高のディナーを味わいに向かった先はヘルシンキ・デザインミュージアム〈Designmuseo〉近くのレストラン、ラヴィントラ・ユーリ〈Ravintola Juuri〉。ユーリは、ヘルシンキで最も独創的な食を楽しめる人気店。地元の食材で作るフィンランド料理は、スペイン発祥のタパスのような小皿料理で、フィンランド風タパス「サパス〈Sapas〉」と呼ばれています。
ユーリは高級レストランというより、ビストロのようなあたたかな雰囲気。気さくな店員さんの案内で窓際の予約席に座ると、食器がマリメッコだとすぐに気づきます。実は以前のマリメッコ本社の社員食堂マリトリ〈maritori〉のオーガニック料理はすべて、ユーリのシェフが腕をふるったものだったのです。
赤いソックスロールドダウンのマリメッコのタンブラーが、キャンドルのようでできれい。旬のルバーブジュースを飲みながら、サパスのおいしいひとときが始まります。

みんなでサパス

フィンランドでは長い間、料理をみんなで分けあって食べるという文化がなかったそう。「サパス」と呼ばれる小皿料理は、ラヴィントラ・ユーリから火がつき、たちまちフィンランドの新しい食文化として広まったそうです。
たくさんの小皿料理をオーダーして、いろんな味を楽しみながら、みんなで分けあって食べる。日本ではあたりまえのような食べ方も、フィンランドでは最先端の食のスタイルとして流行っているというから面白い。
この日のディナーは、お腹がいっぱいになるまでおすすめのサパス(1皿)をオーダー。卵とコールドスモークのニジマス。赤タマネギとボスニア海のニシン。茎のマヨネーズとフィンランド牛……小皿に盛り付けられたサパスは、もうどれも美しくて、感動するほど美味しい! !
サパスのメニューは季節ごとに変わるので、何度ヘルシンキを訪れても、そのとき、そのときのフィンランドの旬が味わえます。
ラヴィントラ・ユーリのオーナー、イーリヤ・ビョルス〈Ilja Björs〉は生粋のヘルシンキっ子。彼はフィンランドの食文化と食材を、新しいものに変えることに力を注いできました。フィンランドの収穫期は短いけれど、イーリヤがいちばん好きな季節。夏のサマーキッチンで調理した旬のパイクパーチ、新じゃが、アンズダケ、アスパラに勝るものはない、とイーリヤ語ります。
「旬」を味わうことは、フィンランドの「今」を感じること。食を通じて見えた新しさと、深い味わいの奥にある、変わらないもの。
おいしい食べものが、私たちの体をつくっている。

Ravintola Juuri

Helsinki|Finland

ラヴィントラ・ユーリ

アクセス
エスプラナーディ通り〈Esplanadi〉から
南へ徒歩約5分。

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