Kanelbulle

シナモンロールと小麦粉の猫

スウェーデンはシナモンロール発祥の地。毎年10月4日はスウェーデンのシナモンロールの日〈Kanelbullens dag〉をお祝いします。パールシュガーとカルダモンのきいたスウェーデン・シナモンロール「カネルブッレ〈Kanelbulle〉」で フィーカ〈FIKA〉しましょう。

2013,2019 Photo & Text_Scandinavian fika.

Vete-Katten

Kanelbulle

シナモンロールの日

シナモンロール発祥の地は、スウェーデンだって知ってました?スウェーデンのシナモンロールは「カネルブッレ〈Kanelbulle〉」と呼ばれ、みんなの大好きなおやつ。10月4日はスウェーデンのシナモンロールの日〈Kanelbullens dag〉で、家族でシナモンロールを焼いたり、ベーカリーへ買いに行ったりして、楽しいFIKAのひとときを過ごします。
本当はシナモン苦手だったのに、北欧のシナモンロールを食べたら病みつきになった!って人も多いはず。
北欧のシナモンロールのおいしさの秘密は、何といってもスパイス!「シナモン」だけじゃなく、粗挽きの「カルダモン」がピリリときいて、甘くてスパイシー。トッピングもアイシングではなく、カリカリのパールシュガーがアクセントになっています。
(北欧のシナモンロールは、ドーナツみたいに甘くありません。シナモンぬきのカルダモンロール、カルデムンマブッレ〈Kardemummabulle〉もあります。カルダモンロールも大好きです!)

北欧旅行中は、もうほとんどシナモンロール食べ歩きの旅。いろんな町のベーカリーで〈Kanelbulle〉の文字を見つけて食べまくります。スウェーデンだけじゃなく、フィンランドのシナモンロールもとっても美味しいです。
カタチもいろいろあって面白い。 フィンランドのシナモンロールは korvapuusti〈コルヴァプースティ〉といって「ビンタされた耳」のようなカタチ。バターとシナモンと砂糖をふりかけた生地をロールして三角にカット。両手の小指を使って、真ん中をぎゅっと押さえて成形します。『かもめ食堂』にも出てきた、ぐるぐる耳の、あのカタチです!
スウェーデンのシナモンロールの成形は、カタツムリのような渦巻き型と、もうひとつは生地をねじりながら巻く、三つ編みのようなくるくる巻きスタイル。

シナモンロールはスウェーデン人が大好きなおやつで、家庭で作るママの味。
上の写真は、たくさんの人たちと切り分けて食べる 長くて大きなシナモンロール、カネールレングド〈Kanellängd〉

Gamla Enskede Bageri

三つ編みの娘のシナモンロール

スクーグスチルコゴーデン〈Skogskyrkogården〉駅の隣の Sandsborg 駅近くに、忘れらないベーカリーがあります。
その日は早朝6時からスウェーデンの世界遺産、アスプルンド〈Erik Gunnar Asplund〉の森の墓地〈Skogskyrkogården〉を見に行って、朝7時からオープンの〈 Gamla Enskede Bageri 〉 へ朝食のパンを食べに訪れました。
地元で愛されるクリーム色の天然酵母のベーカリー〈Gamla Enskede Bageri〉は、扉を開けた瞬間から ふんわり甘くて香ばしい香り。パンやペイストリー、クッキーが並んだ可愛いベーカリーカフェ。オーブンの前では、パン職人のおじさんとまだ若い10代くらいの女の子が、2人できびきびとパンをこねて焼いていました。
早朝でまだお客さんもいなくて、わたしが最初の一人。 スウェーデンのシナモンロール、カネルブッレ〈Kanelbulle〉がちょうど今焼きあがったところでした。三つ編みをぐるりとねじって丸めたようなスウェーデンのシナモンロールの形。三つ編み娘のカネルブッレがきれいに並ぶ姿が愛らしくて、シナモンが香るほど近づいて写真を撮らせてもらいました。
アンティークの古い木のテーブルの窓際の席に座って、朝のコーヒーといっしょに、シナモンロールをひとかじり……… もう、噛みしめるよりも先に笑みがこぼれます。香ばしくてモチモチで、めちゃくちゃおいしい!!
スウェーデンにはおいしいベーカリーがたくさんあるけど、わたしは〈Gamla Enskede Bageri〉の焼きたてのシナモンロールがいちばん美味しかったです!

とっても悲しいことに、今はもう閉店してしまった〈Gamla Enskede Bageri〉。あのシナモンロールは二度と食べることができません。三つ編み娘のカネルブッレの写真が、いつかの卒業写真のような思い出の一枚に変わります。
あの日、〈Gamla Enskede Bageri〉で朝食をすませたあとも、ストックホルムのいろんな場所をまわって写真を撮りました。一眼レフカメラを構え、ファインダーをのぞく度に、シナモンの香りがふわり。鼻をくすぐるのです。
卒業写真を撮った時の香りがレンズに残り、わたしの記憶を甘くつつむのです。

Vete-Katten

ヴェーテカッテンとセムラ

スウェーデンのスイーツといえば、セムラ〈semla〉!スウェーデンの伝統菓子セムラとは、カルダモン風味のパンにマンデルマッサと呼ばれるアーモンドペーストと、まったく甘くないホイップクリームが入ったもの。見た目はシュークリームなのに、味はぜんぜん違うみたい。
かつてスウェーデンでは、イースター〈復活祭〉前の40日間断食を行っていて、セムラは断食前に食べるごちそうだったそうです。
毎年2月になると「ストックホルムで1番おいしいセムラ」を決めるセムラコンテストが開催され、2014年、見事ストックホルム1位に輝いたのは「小麦粉の猫」という名前の老舗カフェ、ヴェーテカッテン〈Vete-Katten〉!

Semla

夏に旅したので、ヴェーテカッテンのセムラは食べられませんでしたが、美味しいと評判のシナモンロール、カネルブッレ〈Kanellbulle〉をいただきました。パールシュガーとシナモンの香り、香ばしさがマッチした上品な味。店内のクラシカルな雰囲気も素敵です。
伝統的なチョコレート菓子 Biskvi〈ビスキュヴィ〉も人気で、特に Sarah Bernhardt〈サラ・ベルナール風〉の Biskvi がおすすめ! 
ヴェーテカッテンはヒョートリエット広場〈Hötorget〉のKungsgatan通り、イーリス・ハントヴェルク〈Iris Hantverk〉のすぐお隣にあり、フィーカ〈FIKA〉におすすめのカフェです。
(その後、ヴェーテカッテンの店内はリニューアルして、レトロな雰囲気から、モダンで開放的なカフェに変わりました!)

その他のスウェーデンの伝統的なお菓子といえば、プリンセスケーキ〈Prinsesstårta〉やキャロットケーキ〈Morotskaka〉、「掃除機」という名前のダムスーガレ〈Dammsugare〉などがあります。謎のダムスーガレは、マジパンに包まれたリキュールの効いた緑色のお菓子だとか……なんだか、とっても気になります。

Prinsesstårta

Vete-Katten

Stockholm|Sweden

ヴェーテカッテン

アクセス
ストックホルム中央駅〈Stockholm Central Station〉
から徒歩約10分。
〈Hötorget〉から徒歩約4分。

ストックホルム中央駅構内にも
〈Vete-Katten〉があります。

Vete-Katten
vetekatten.se

Pelikan

ペリカンのミートボール

スウェーデンの伝統料理
ミートボール


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