SKANSEN

世界初の野外博物館
スカンセン

ユールゴーデン島の高台に広がるスカンセン〈Skansen〉は「小さな砦」という意味で、17世紀にはこの丘に砦が築かれ、ストックホルムの街を守っていたそうです。
1981年、スウェーデン民芸の父・アルトゥール・ハゼリウス〈Artur Hazelius〉がこの地に開園した世界初の野外博物館には、スウェーデン全土から移築された160以上もの代表的な家屋や農園が点在しています。広大な園内には動物園や水族館、工房街やミュージアムショップもあり、大人も子供も楽しめるテーマパークです。

北のサーミの住居から、南のスコーネの農園まで。
スウェーデンの「暮らし」と「民芸」に出会う旅に出かけてみませんか。

2013 Photo & Text_Scandinavian fika.

Skansen

スカンセン誕生

1981年、民族学者アルトゥール・ハゼリウス〈Artur Hazelius〉は、ストックホルムのユールゴーデン島の一部を買い取って、その場所にダーラナ地方ムーラの家を移築しました。家の中には生活道具や農具がそのままに置かれ、ダーラナの民族衣装に身を包んだ人びとが普段の生活や、伝統的なお祭を再現します。時とともに、失われつつあるスウェーデン民芸の素晴らしさを伝えたい。ただ物を展示するだけでなく、自然に囲まれた地方の生活を見せたい、という強い想いから、ハゼリウスは世界初の野外博物館を開園。これが、スカンセン〈Skansen〉のはじまりです。
開園後、瞬く間に人気を博するようになったスカンセンは、その後も全国各地の家屋や農園を移築し、スウェーデンのミニチュアともいえる巨大テーマパークを築き上げました。
スウェーデンの古き良き時代のぬくもり。ここで見ることのできる「民芸」や「暮らし」には、あたたかな命が宿っています。

サーミの家とスコーネの農園

王立公園〈Kungsträdgården〉から水色の7番トラムに乗って約15分。ユールゴーデン島の小高い丘に人気の野外博物館スカンセンはあります。
広大な園内にはスウェーデンの北から南まで、時代を超えて移築された約160棟の家屋や農園が点在しています。北のサーミ族の住居から南のスコーネの農園まで、歩いて旅することができるのです。
1700年代〜1900年代のスウェーデン全土の暮らしぶりを見ることができるスカンセンの家々では、その時代の伝統的な衣装をまとったガイドさんが案内してくれ、中を見学することができます。夏の園内は緑や草花があふれていますが、土地の北側にはスウェーデン北部の植物を、南側にはスウェーデン南部の植物を植えてあるそうです。
下の写真は、日本の高床式住居のようなサーミ族の住居〈Samevistet〉。スカンセンの高台から見下ろす、ユールゴーデン島も最高です!

スウェーデンの暮らしと手仕事

スウェーデン民芸の父・アルトゥール・ハゼリウスは、自然と共にある伝統的な地方の暮らしにこそ、スウェーデンの素晴らしさがあると信じていました。失われつつあった民芸を守ることは、スウェーデンの美しさを守ることでもあったのです。
木のスプーンや花模様クルビッツが描かれた道具箱。白樺の皮を編んだ靴や、美しい刺繍のヤギの毛皮の手袋。地方の農家で使われていた民芸品や農具は、スカンセンのさまざまな時代の家々で見ることができます。民族衣装を着た人たちが、刺繍や実演やカゴの編み方を教えてくれることも。

スウェーデンの暮らしや手仕事に興味があるなら、スカンセンと同じユールゴーデン島にある北方民族博物館〈Nordiska Museet〉も見学することをおすすめします!サーミ族の衣服や日用品など、貴重なコレクションが展示されています。
それから、スカンセンのミッドサマー〈通常6/19から6/25〉はすごい人!
民族衣装を着たスウェーデンの伝統的な夏至祭を見に、世界中から観光客が押し寄せてきます。一度でいいから、メイポールを立てて、輪になって踊ってみたい!

▶ YouTube / Celebrate a genuine Swedish Midsummer at Skansen〈スカンセンの夏至祭〉 

ガラス細工と工房のまち

スカンセンのメインエントランスから入って長いエスカレーターを上がると、雑貨屋やパン屋、ガラス工房、陶器屋、印刷屋、荒物屋、修理屋などの小さな工房が軒を連ねる工房の街〈Stadskvarteren〉が見えてきます。どの工房も昔のままの店構えで、当時の衣服や道具を使ってお店を開いています。
ガラス工房〈Stockholms glasbruk〉の実演が特におもしろかったです。女性の職人さんが熱したガラスをふくらませてガラス玉をつくっていました。隣にあるショップでは工房でつくられたガラス細工や、細かいひびが入ったデザインの「スカンセンガラス」が並んでました。
1870年代のパン屋を再現した人気のベーカリー〈Bageriet〉では、窯を火をくべて、スウェーデン風シナモンロールのカネルブッレ〈Kanelbulle〉を焼いてました!アツアツの焼きたてパンをその場で食べることができるので幸せ。

スカンセン動物園

子供たちが一番楽しめるのはやっぱり、ヒグマや穴グマ、オオカミやオオヤマネコ、大鹿やトナカイ、グレー・アザラシなど、スカンジナビアに生息する動物たちに会えるスカンセン動物園!馬や牛、羊や山羊、豚や鶏など、昔からスウェーデンの農家で飼われていた動物たちもスカンセンに集められています。家族連れでにぎわう檻の前で、北欧のヘラジカ(ムース)だけは見なければ!とカメラを構えましたが……寝てました。ぐっすり。
園内には水族館もあります。 スカンセンを半日歩きまわって思ったことは……とにかく広い!ぜんぜんまわりきれない!しかも、くねくねした坂道が多いので足パンパンです!小さなお子さんと動物園を楽しみたいなら、トラムの停留所前のメインエントランスからではなく、ハゼリウス門〈Hazeliusporten〉から入場して、赤いケーブルカーで一気に高台まで登った方がいいかも。

スカンセン・ブティーケン

スカンセンの入口にあるスカンセン・ブティーケン〈SKANSENBUTIKEN〉は、おみやげ探しにぴったりのミュージアムショップ。スウェーデン産のクラフトやダーラへスト〈Dalahäst〉がずらり並び、ブラシなどの日用品から手芸用品まで品揃えも豊富です。スカンセンの工房でつくられた陶器や、細かなひびが愛らしい「スカンセンガラス」も置いてあります。
それからブティーケンでは、スウェーデンを代表する陶芸家リサ・ラーソン〈Lisa Larson〉の「スカンセンシリーズ」も見つけることができます。スカンセンの動物たちがモチーフのヘラジカ〈Elk〉やアザラシ〈Seal〉もかわいいですが、動物園でヒグマの親子を見たから、ベア〈Bear〉の親子を3匹ほしくなっちゃいます!

スカンセン・ブティーケンは、スカンセンの入場口の外にあるので、園内をまわる時間がない時は、おみやげだけを見に入ることができますよ。

Skansen

Stockholm|Sweden

スカンセン

アクセス
ストックホルム地下鉄中央駅〈T-Centralen〉の
トラム乗り場や
王立公園〈Kungsträdgården〉から
7番トラムに乗って約15分。

www.skansen.se

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