Saltsjö-Duvnäs

サルトショー・ドゥーヴネス

スウェーデンのまぶしい夏。誰もが心待ちにする季節の訪れとともに、短い夏の間だけオープンするソンマル・カフェ〈Sommarcafé〉があります。 ほんとうは誰にも教えたくないという秘密のソンマル・カフェがあると知って、スルッセン〈Slussen〉からブルーのローカル電車に乗って15分。ストックホルムの隣のナッカ〈Nacka〉へ。
自然豊かなサルトショー・ドゥーヴネス〈Saltsjö-Duvnäs〉の美しい水辺の景色を眺めながら、東へ歩いてゆくと、閑静な住宅地の中に突然、緑の庭が広がるソンマル・カフェがあらわれます。 それは、秘密のカフェ「コロニー」
スウェーデンの芸術家オッレ・ニィマン〈Olle Nyman〉が愛した、夏のアトリエの景色でした。

2013 Photo & Text_Scandinavian fika.

Saltsjö-Duvnäs

コロニー

スウェーデンで買った2枚の絵画の絵ハガキ。そこには、白いアトリエから見える緑の夏の景色と、静かな海が広がる冬の景色が描かれています。それは、スウェーデンの芸術家オッレ・ニィマン〈Olle Nyman〉が愛したアトリエからの風景。
スルッセン〈Slussen〉駅から電車に乗って15分。ストックホルムのおとなりのナッカ市〈Nacka Kommun〉に絵ハガキの中のアトリエはあります。
絵画や彫刻などの創作活動を続けてきたオッレ・ニィマンのアトリエと自邸は、彼の亡きあと、オッレ・ニィマン文化財団によってミュージアムとして一般公開されました。それに合わせてオープンしたのが、カフェ・コロニー〈KOLONi〉です。
美しい緑と水辺の景色を楽しめるオープンカフェ・コロニーは、ナッカの自然あふれる閑静な住宅地の中にひっそり建っています。入口の門の前には、「KOLONi」と書かれた小さなブラックボードがあるだけ。カフェでくつろぐ人たちも、近所の家族や若者といった感じ。それでもこの場所には、アットホームというよりも、何か特別な、優雅で開放的な空気が満ちています。
ここでは、庭の草花も海の青さも、カンバスに描かれた絵画のよう。コロニーには、なめらかな絵筆ような美しい時間が流れていました。

夏のソンマル・カフェ

スウェーデンでは夏の間だけオープンするサマー・カフェのことを、ソンマル・カフェ〈Sommarcafé〉と呼びます。コロニーもそのひとつ。毎年4月、ソンマル・カフェ「コロニー」がオープンする日を、みんな心待ちにしています。
自然につつまれたコロニーでは、素敵なサンルームやガーデンテーブルに座って、フィーカや美味しい食事を楽しめます。敷地内ではハーブやルバーブなどを育てていて、カフェのカウンターに並んだ人気のケーキやパイには、庭で摘んだ色鮮やかな花が添えられています。ケーキはどれもおいしいけれど、いちばんのおすすめは「ルバーブとリンゴのパイ」。温めたパイに、バニラソースをかけてめしあがれ!

コケモモのスムルトロンステッレ

コケモモのスムルトロンステッレ。なんだか美味しそうなケーキの名前……ではありません。スウェーデン語で「Smultron〈スムルトロン〉」とは、小さくてかわいい夏の「野いちご」のこと。そして「Ställe〈ステッレ〉」とは「場所」を意味します。スウェーデン人にとって「Smultronställe 〈スムルトロンステッレ〉」とは、「誰にも知られたくない秘密の場所」をあらわす言葉なのです。
そんな秘密の場所をこっそり教えてくれたのは、KOKEMOMO Sweden のサイト。スウェーデンの食文化にはかかせない Lingon〈リンゴンベリー〉の名前がついた「コケモモ・スウェーデン」は、ストックホルム在住の日本人ふたり組のユニット。いつもストックホルムから、スウェーデンの旬の情報を私たちに届けてくれます。
初めて日本に「コロニー」を紹介してくれた「コケモモ」のお二人のおかげで、隠れ家のような素敵なアトリエカフェで、最高のフィーカを味わうことができました。Tack! Tack!
でもみなさん、「コロニー」のことはくれぐれも秘密にしておきましょう。北欧好きの友達に会っても内緒です。「野いちご」を見つける旅は、こっそり行ってこそ、価値があるのです。


【追記】
2020年現在、コロニーは閉店してしまったのですが、同じ場所に「Kerstin & Britt」がカフェレストランの営業しています。

オッレ・ニィマンが愛したアトリエ

1909年、ナッカのサルトショー・ドゥーヴネス〈Saltsjö-Duvnäs〉に生まれたオッレ・ニィマン〈Olle Nyman〉は、若い頃にスウェーデンで美術を学んだあと、海外を巡り、帰国後は王立美術大学で教鞭をとりました。その後、1950年代中頃に故郷サルトショー・ドゥーヴネスに戻り、この家で1999年に亡くなるまで、創作活動を続けました。
オッレの自邸は今はミュージアムとして公開されていて、ガイドツアーも行なわれています。アトリエもそのまま残されており、絵画や彫刻などの彼の作品を見ることができます。
アトリエの横につくられたギャラリーでは、若手アーティストのエキシビジョンが行なわれていました。ハイサイドの窓から差し込む光が、とても印象的なギャラリー。オッレ・ニィマンの作品集や絵画のポストカードなども、ここで買うことができます。

ナッカを歩こう

ストックホルム郊外にあるナッカ市〈Nacka Kommun〉。あまり聞き慣れない地名ですが、ストックホルムのすぐ東に位置する市で、グスタフスベリ〈Gustavsberg〉よりもずっと近い町です。コロニーに行くことがなければ、きっと短い旅行の間に、ナッカを訪れることもなかったと思います。
オッレ・ニィマンの故郷サルトショー・ドゥーヴネスは、自然豊かな美しい水辺の町。ストックホルム中心地から電車でわずか15分で、こんな別荘地のような場所にたどり着くことができるだなんて!
サルトショー・ドゥーヴネスの駅からコロニーまで続く海岸線にはかっこいいヨットが並び、閑静な住宅地に建つ家々はどれも、ため息がでるほど素敵。ナッカの水辺をのんびり歩くだけでも、うきうき楽しい気持ちになります。

サルトショー・ドゥーヴネス

セーデルマルムのスルッセン〈Slussen〉から出発するスウェーデンブルーのローカル電車〈L25/Lokalbanor〉に乗って約15分。ナッカ〈Nacka〉駅を過ぎた7つ目の駅。サルトショー・ドゥーヴネス〈Saltsjö-Duvnäs〉駅で下車。オッレ・ニィマン〈Olle Nyman〉のアトリエへは、美しい水辺の通りを東へてくてく歩きます〈徒歩約15分〉。
ストックホルムの旅では地下鉄を利用することがほとんどですが、ローカル線もなかなか良いものです。地下鉄スルッセン駅のローカル線の乗り場は1番下の階、グスタフスベリ行きのバスターミナルの前にあります。
(地下鉄に乗ってスルッセン駅のホームに着いたら、すぐに改札を出ずに「Nacka〈ナッカ〉」とサインが出ている階段を降りましょう) 
ナッカは近いですが、オッレ・ニィマンのアトリエとカフェを満喫したいなら、ゆったり時間をとることをおすすめします。

Saltsjö-Duvnäs

Nacka, Stockholm|Sweden

サルトショー・ドゥーヴネス

アクセス
スルッセン〈Slussen〉駅から
ブルーの電車に乗って約15分。
〈Saltsjö-Duvnäs〉駅で下車。
オッレ・ニィマンのアトリエへは
駅から海沿いに徒歩約15分。

Olle Nyman
ollenyman.se

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