Leksand
Midsommar 2

レクサンドの夏至祭

ダーラナの夏至祭 - 後編 -

スウェーデン最大の夏至祭がひらかれるダーラナ〈Dalarna〉のレクサンド〈Leksand〉。
夏至の花飾りをつけて、グローペンの広場に集まってくる人びと。白樺の葉や野花を編んだ花の冠が、北欧の白夜の斜光にきらめいて、 光の方へ誘われてゆくよう。
なんと 美しく、尊い光。

夏至の夜は 不思議な力が満ちるという。
わたしたちは きっと、夢を見ている。
スウェーデンの夏の夜の夢───

2019 Photo & Text_Scandinavian fika.


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Leksand Midsommar 2

スウェーデン最大の夏至祭

ストックホルムから北西へ約260km。スウェーデンの中部に位置するダーラナ〈Dalarna〉地方のレクサンド〈Leksand〉。美しい自然に包まれ、伝統が今も色濃く残るダーラナ(県)は、スウェーデン人の"心のふるさと"と呼ばれている。
シリアン湖の南に位置するレクサンド〈レクサンド・コミューン(市)/ Leksands kommun〉では、夏の訪れを祝うスウェーデン伝統の夏至祭(ミッドサマーフェスティバル)が盛大に行われる。
(毎年6月の第4土曜日が「夏至の日(ミッドサマー)」となり、夏至祭が行われるのは前日の金曜日のミッドサマーイブ)

小さなレクサンドの町は大勢の観光客で活気に満ちている。スウェーデン最大の夏至祭を楽しみに訪れた人々。シリアン湖からエステルダール川へと続く川の流れ。橋の上からの眺めは爽快。風が気持ちいい。
レクサンド橋がかかる川の向こうから、三日月のような舟にのって、 ダーラナの民族衣装をまとった音楽隊が、白樺のハートのリースを運んでやってくる。
橋のたもとには、スウェーデン国旗と大きなメイポール。羽ばたく鳥たちもそわそわと、夏至祭のはじまりが待ち遠しい。

グローペン

レクサンドの夏至祭(ミッドサマーフェスティバル)の会場となるグローペン〈Gropen〉。「くぼみ」という意味の大広場は、氷河期にできた窪地。これからグローペンに2万人もの人が集まるという。
真ん中に高さ26メートルもの巨大なメイポール〈Midsommarstång〉。白樺の葉と野花で飾られたメイポールは子孫繁栄のシンボル。「えいやー」と声をかけながら、支え棒を使って男たちが力を合わせてゆっくり立ち上げてゆきます(巨大なメイポールが立ち上がるまでは1時間くらいかかる)
夏至祭は夜7時ごろから始まって、メイポールが立ち上がるのが9時ごろ。クライマックスは、メイポールを囲んでぐるぐる回りながら、みんなでフォークダンスを踊る。定番は「小さなカエルのダンス〈Små grodorna〉」。みんなカエルの真似して「クーアッカッカー」と飛び跳ねる。白夜がうっすらと紫色に染まる10時ごろフィナーレ。

4年前にストックホルムの野外博物館スカンセン〈Skansen〉にミッドサマーフェスティバルを観に行ったら、突然雨が降り出して、夏至祭イベントが中断してしまった。そのことをスウェーデン人に話したら、みんな「雨が降るのは毎年のこと」と言っていた。

夏至祭の日は、スウェーデンでは決まって雨が降るのだそう。
でも、この日の空は澄んでいる。
もしかしたら、雨の降らない、奇跡の夏至祭になるかもしれない。

カフェ・アレェ

北欧の夏といえばアイス!夏至祭がはじまるまで、まずはアイスを食べましょう。グローペンの近くにあるダーラナ地方・レットヴィーク〈Rättvik〉の人気のアイスクリーム屋さん、レットヴィクス・グラス〈Rättviks Glass〉のアイスクリームがおいしいよ!

観光客に混じって、レクサンドやレットヴィークの民族衣装を着たダーラナの女性たちが増えてきた。       
風になびくブロンドの髪に、花の冠。白樺の木漏れ日がきらきら、まばゆい。

音楽隊の行進

レクサンド橋には、音楽隊の登場を迎えようと橋を埋め尽くすほどの人が集まっている。川の向こうから手漕ぎの舟に乗って、ダーラナの民族衣装をまとった音楽隊がやってきた!
橋を渡り、盛大な歓迎を受ける音楽隊。ヴァイオリンを響かせるフィドラーたち。会場のメイポールに飾る白樺のハートのリースを運ぶため、グローペンまで音楽隊の行進はつづく。

2019年6月21日の金曜日。夜7時。
奇跡のような晴天の下、 スウェーデン最大の夏至祭がはじまった。

夏至の乙女

夏至祭を彩るダーラナの民族衣装、ダーラドレクト〈Daladräkt〉。ハレの日に装うダーラドレクトは、ダーラナの地方によって伝統的な色や柄や模様がある。
レクサンド〈Leksand〉の女たちの民族衣装は、伝統的な赤と白のストライプのエプロンに黒のスカート、刺繍入りの赤いベスト、首にバラの刺繍のスカーフ、右の腰にはポシェット。
レットヴィーク〈Rättvik〉女たちは赤・黒・白・緑の4色のボーダーのエプロン、赤いリボンのグリーンのベストに赤い靴下、 グローヘッタと呼ばれる先のとんがった三角帽子をかぶる おばあちゃんも。
ダーラナの男たちは、つばの丸い黒の帽子をかぶり、赤く縁どりをした紺のジャケット。赤い実のような房で飾った靴下つりのついた 膝まである黄色い革ズボンをはいている。

バイオリン演奏の晴れ舞台を控えた、フィドラーの乙女たち。
母から子へと代々受け継がれてきた村の民族衣装をまとい、緊張と不安、今にも舞い上がるような胸の高鳴りを抑え、いきいきと輝いている。弾ける笑顔も、真剣な眼差しも、その表情ひとつひとつが、野に咲く花のよう。
夏至の白夜は、乙女たちを綺麗にする。

Leksand Midsommar

ミッドサマーのフィナーレ

夜9時。26メートルの巨大なメイポールが立ち上がると、2万人の観衆から拍手喝采!夏至祭はフィナーレを迎え、グローペンの雰囲気は最高潮に!
スウェーデンの伝統楽器 ニッケルハルパ、バイオリン、アコーディオンの音楽隊の生演奏が始まると、ダーラナの民族衣装をまとった おじいちゃんとおばあちゃんたちのフォークダンスを踊り出した。
若返ったかのように、軽やかに、美しく。華麗なステップに、スカートがふわり。

小さなカエルのダンス

音楽隊の演奏が続き、メイポールにまわりにどっと集まってくる人びと。子供も大人も、親子も家族も、友達も恋人も、みんなひとつの大きな輪になって、手をつないで ぐるぐるまわりだした!
待ちに待った、あのダンス! みんなカエルの真似をして「クーアッカッカー」と飛び跳ねながら、踊る!踊る!


♪ 小さなカエルのダンス ♪

Små grodorna, små grodorna är lustiga att se.
Små grodorna, små grodorna är lustiga att se.
Ej öron, ej öron, ej svansar hava de.
Ej öron, ej öron, ej svansar hava de.

小さいカエルは面白い
耳もシッポもありゃしない

Kou ack ack ack, kou ack ack ack, kou ack ack ack ack kaa.
Kou ack ack ack, kou ack ack ack, kou ack ack ack ack kaa.

クーアッカッカ クーアッカッカ クーアッカッカッカッカー

陽が沈まない夜。 終わらないダンス。
笑顔が、喜びが、あふれてゆく。


夏至の夜は 不思議な力が満ちるという。
わたしはたちは きっと、夢を見ている。
スウェーデンの夏の夜の夢───


Glad midsommar!
(グラード ミッドソンマル!よいミッドサマーを!)

Leksand

Dalarna|Sweden

レクサンド

アクセス
ストックホルム中央駅から SJの特急列車で
北西へ3時間15分。
〈Leksand〉駅で下車。
夏至祭の会場グローペンへは
駅から西へ徒歩約10分。

レクサンド
leksand.se/

Tällberg

テルベリと
ビョルンのスポーンコリ

ダーラナのカゴ職人
ビョルンさんの工房を訪ねて


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