北欧フィーカ|デンマーク・コペンハーゲンの旅|対岸にスウェーデン。自然とアートが溶けあう、ルイジアナ美術館。|Scandinavian fika.

デンマーク・スウェーデン・フィンランド、北欧デザインの旅。

対岸にスウェーデン。自然とアートが溶けあう、ルイジアナ美術館。

コペンから北へ35km。中央駅からヘルシンオア(Helsingør)の行きの郊外列車Reに乗って、海岸線を約40分。目的地のフムレベック(Humlebaek)は静かで小さな町。素敵な北欧の木の家が建ち並ぶ大通りを、てくてく歩くこと10分。ここに、世界一美しいと称されるルイジアナ美術館があります。
世界屈指の現代美術コレクションやエキシビジョン。広大な庭園にはヘンリー・ムーアやアレクサンダー・カルダーのスカルプチャーアートが点在しています。
でも、この場所でどんな芸術品よりも美しいものは、丘の上から望むオーレスン海峡の青い海。対岸のスウェーデンを眺めながら、自然とアートに触れあう贅沢な時間は、水面のきらめきのように、胸にやさしい光をともしてくれました。

□写真左/ アレクサンダー・カルダー(Alexander Calder)のモビールは、美術館のシンボル


Louisiana Museum

ルイジアナ美術館へ

1856年に建てられた邸宅を改装した趣あるルイジアナ現代美術館(Louisiana Museum of Modern Art)のエントランス。10時のオープン前に到着したら、ぞくぞく人が集まってきて入館前は100人以上の長蛇の列に。建物の狭い入口から想像して、さすがにこれだけの人が中に入ったら混んでてゆったり見れないだろうな〜と思っていたら、びっくり! 館内は、長い回廊で地下までつながっていて、迷路のように広かった! モダンアートの展示だけじゃなく、ミュージアムショップやカフェ、こどものワークショップ教室など、大人から子供まで楽しめる工夫が凝らしてあって、先へ進むだびにワクワクしました◎ 小さな入口をスタートして、海が見える高台の庭園がゴール。雄大な自然と最高のロケーションが待っています。

2010. update.

Henry Spencer Moore

ヘンリー・ムーアと海を望む

オーレスン海峡(Øresund)を眺められる絶好のビューポイントには、ヘンリー・ムーア(Henry Spencer Moore)の彫刻。海の向こうにはスウェーデンが見えます。ルイジアナ美術館のコンセプトは、自然と建築がすべてを表現できる空間をつくること。海があり、湖があり、小高い丘や、起伏に富んだ地形を活かした建築は、四角い箱の中にとどまらない、目に焼きつくような景観の美しさがあります。設計を手がけた建築家ヨルゲン・ボー(Jørgen Bo)とヴィルヘルム・ヴォラート(Vilhelm Wohlert)の2人は、何ヶ月も歩き回って理想の場所を探したそうです。自然とアートが調和する世界一の美術館は、訪れたものに、海を望むような空間の広がりと、緑の素晴らしさを教えてれます。

2010. update.

Alexander Calder

カルダーの彫刻庭園

海にいちばん近いカフェテラスの庭園には、ルイジアナ美術館のシンボルともいえるアレクサンダー・カルダー(Alexander Calder)の鉄の彫刻(写真)や、赤いモビールが展示されています。モビールはすごく北欧を感じさせるアイテム。子供部屋につるしてある鳥やゾウのモービルがかわいくて好き。だから、幼い子がガルダーの作品を見たら、このモビール大っきい!ってはしゃぎそう。芸術もおもちゃも、子供には区別がつかなくても、この美術館にあるものはどれも愛らしい。存在そのものが、森で出会った生きもののようにおかしくて、ナチュラル。だからみんな、さわったり、写真に切り取ったりして、思い出をつくりたいんだと思う。アートの価値は、人の心が決めるもの。愛されてこそ。

2010. update.

Corridor

自然とアートをつなぐ回廊

1958年から5回にわたって増築を重ねていったルイジアナ美術館。旧館から新館へ、中庭をぐるりと囲むように各展示フロアが回廊でつながっています。美しい景色に溶けこむガラス張りの回廊を歩いたら、不思議と日本の風情を感じました。ここは北欧なのに、お寺の縁側や渡り廊下を歩いているような気分。木と緑が、この回廊のように日本と北欧をつなげているんだなと思いました。地形に合わせて長く曲がりくねった回廊は地下まで続いていて、展示室の閉ざされた空間と、自然の開かれた景観が、絶妙なバランスで調和。アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)のコレクションと展示空間も必見。池と柳の景色を切り取った背景のキャンバスは、彫刻のシルエットをより際立たせます。まるで、物語のワンシーンのよう。

2010. update.

Museum of true

ほんとうの美術館

リビエラ海岸に面して建てられたルイジアナ美術館は、もともとは富豪の邸宅だったそう。中庭の彫刻庭園には、展示室や回廊の途中でも飛び出すことができます。芝生に寝そべって日向ぼっこしたり、サンドウィッチをほおばったり、子供はすべり台で丘を降りて、冷たい海に飛び込んだり。芸術を鑑賞することが目的の美術館が、こんなにも楽しくて、自由で、みんなから愛されているなんて! 堅苦しくて、どこか殺風景な日本の美術館とはまるで違う。懐が深くて、遊び心があって、元気がわいてくるところ。幼い子が「パパ、ママ。連れてって〜!」とせがむような心おどる美術館が、日本にはいったいいくつあるだろう? ここには展示室を見る順路も、作品を囲う柵もありません。誰に対してもオープンで、ウェルカムで、この場所が好きだからこそ、みんな大切にするのです。心を豊かにしてくれる場所。それが、ほんとうの美術館。

2010. update.

My Best Museum

世界一のミュージアムカフェ 

ルイジアナ美術館のミュージアムカフェは世界一! 萩原健太郎さんの『北欧デザインをめぐる旅』の中にあった、「世界一」という響きは本当でした。想像していたよりもカフェスペースは遥かに広くて、オーシャンビューのテラスからは最高の眺めが! 店内には、ターコイズやライムのカラフルなセブンチェアが並んでいて、テラスにはキャスパー・サルト(Kaseper Salto)がデザインしたアイスチェア(Ice)の姿も。自然光がいっぱいに差し込む窓辺からの景色と、庭園で戯れる人の笑顔。みんなハンモックで寝そべるように、大自然に体をすっぽりあずけています。コペンハーゲンを訪れて、ルイジアナ美術館に行かないなんて絶対にもったいない!3時間の滞在でも足りなかったくらい。もっともっと、ここで光を浴びて、アートと自然ににつつまれるような、あの余韻にひたっていたかった。

2010. update.

Louisiana salat

ルイジアナサラダ!

オープンからすべてのエキシビジョンを見て回ると、ちょうどおなかが空いてきます。最後に待っているスペシャルなアートは、最高のロケーションの中で楽しむ「美食」。ランチタイムになると、大勢の人がデリカウンターに押し寄せてきて、店内のセブンチェアはあっというまにいっぱいに! 間一髪で窓際のアリンコチェアをゲット! ランチメニューはどれもこれも美味しそうで、チキンのカレー風味サンドとサラダ、コーヒーを頼んだら、食べきれないほどのボリュームでした。
ここで出会った、ルイジアナサラダは絶品!(79DKK ※パン付き) 味つけはオリーブオイルと天然塩のみ。みずみずしい旬の野菜をいただく贅沢なサラダ。ホウレンソウにベリーリーフ、ラディッシュ、パプリカ、カリフラワー、さやいんげんにひよこ豆、アボカドにチーズにメロン、そしてプルーンのようなフレッシュオリーブ。葉っぱの苦みと果実の甘み、濃厚なチーズのコクが最高にマッチしてデリシャス! 北欧の食事で、いちばん最初に思い出す、忘れられない味になりました。

2010. update.

Concert hall

こども部屋とコンサートホール

美術館の地下には、18歳までの子供なら誰でも参加できるワークショップルームがあります。パパ・ママが展示室を見て回るあいだ、子供たちはお絵描きしたり、粘土したり。おもしろかったのは、黄色いレゴブロックでつくった壁のメッセージや、アートぬり絵。「ムンクの叫び」をクレヨンでぬっている姿はなかなかシュールでした。こうやって子供たちは、早くからアートにふれる機会を得ています。
写真はカフェのとなりにあるコンサートホール。ステージの壁にかけられた花がらのアートパネルが素敵。ここで音楽会や発表会をしたら、どんなに気持ちいいことだろう。きっと、窓の外の景色と自然光が、味わいある舞台を演出してくれるはず。
ゆっくり美術館を堪能したら、最後はおみやげを探しにスーベニアショップへ。エントランスを入ってすぐの広いショップには、ルイジアナおすすめの北欧デザイングッズがいっぱい。時間がいくらあっても足りません!

2010. update.

Humlebaek

フムレベックを歩く

フムレベック(Humlebaek)駅は、レンガ造りの小さな駅。もちろん改札はありません。降りるときも乗るときも、そのままホームへ。ルイジアナ美術館への道のりは、駅を出てまっすぐ歩き、突き当たりの大通りを左折して、しばらく進むと、右手に『Louisiana』の看板と、美術館への入口があります。徒歩10分くらい。このあたりを歩いている観光客のほとんどがルイジアナ美術館を目指しているので、みんなの後をくっついていけば着いてしまうかも。フムレベックは静かで小さな町だけれど、とても好き。北欧の木の家とガーデンを見ながら、のんびり歩くだけで、ほんわかした気分になります。
フレデリクスボー城(Frederiksborg Slot)ベルビュー・ビーチ(Bellevue beach)の観光と合わせて旅行を計画すれば、コペンハーゲン郊外の1日を満喫でき、デンマークの田舎の景色も楽しめます。

2010. update.

ルイジアナ現代美術館

Louisiana Museum of Modern Art

リビエラ海岸に面してつくられた、世界一美しいと称されるルイジアナ美術館。
http://www.louisiana.dk

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