北欧フィーカ|スウェーデン・ストックホルムの旅|ニルスとピッピを描いた2人の女性、ラーゲルレーヴとリンドグレーン。|Scandinavian fika.

デンマーク・スウェーデン・フィンランド、北欧デザインの旅。

ニルスとピッピを描いた2人の女性、ラーゲルレーヴとリンドグレーン。

北欧旅行から帰ってきても、大切にとってある20スウェーデン・クローナ。そのお札には、子供のころ夢中になったスウェーデンの童話「ニルスのふしぎな旅」と、その作者セルマ・ラーゲルレーヴが描かれています。
そして、ストックホルムの街ではいろんな場所で、世界一つよい赤毛の女の子「長くつ下のピッピ」を見かけます。ピッピの生みの親アストリッド・リンドグレーンもまた、スウェーデンを代表する児童文学作家。

アンデルセンのデンマーク、ムーミンのフィンランドと並び、スウェーデンには2人の女性が生んだ、世界中の子供たちに愛される2つの物語があります。

 

□写真左/ 長い歴史を持つダーラナのゲストハウス Dala-Flada Värdshus の書斎には、古い本がぎっしり


Nils Holgerssons

ニルスのふしぎな旅

20SEK(スウェーデン・クローナ)札の裏には、白いガチョウのモルテンにのって空を旅する小さな少年「ニルス」が描かれています。
「ニルスのふしぎな旅(Nils Holgerssons underbara resa genom Sverige)」は、いじわるで親不孝もののニルスが、その罰として、妖精トムテに魔法をかけられ、体を小さくされてしまうところからはじまります。 手のひらほどの小人になったニルスは家を離れ、ガチョウやガンの群れといっしょにスウェーデン中を旅しながら、いろんな動物たちと仲良くなり、少しずつ大人になっていきます。
「かわいい子には旅をさせろ」といいますが、悪い子ニルスが、人として成長していくこの物語を読むと、その意味がわかります。お母さん、かわいい子には童話を読ませましょう。

2010. update.

Selma Lagerlöf

セルマ・ラーゲルレーヴ

1909年にスウェーデン人として初めて、また女性として初めてノーベル文学賞を受賞したセルマ・ラーゲルレーヴ(Selma Lagerlöf)は、あるとき、スウェーデン教育会から「子どもたちが、スウェーデンの美しい自然と地理について楽しく学べる本」を書いてほしいと頼まれました。彼女は「教科書としてだけでなく、物語としても完成度の高いもの」をめざして書き上げたのが「ニルスのふしぎな旅」です。
ストックホルムで勉強をし、1885年から1895年まで女学校の先生として働いていたラーゲルレーヴは、「教育」も「文学」も同じ、親から子へ、子からまた子へと、「伝えてゆくもの、つむいでゆくもの」だと教えてくれました。

2010. update.

Memories

空を飛ぶ少年

いじわるでわがままで、いつも親を困らせてばかり。いつか大きくなったら、家に帰り、成長した姿を見せて親孝行したい。大人になった今、少年時代を振り返ると、ニルスの旅が、自分と重なってきます。
小学生のとき、生まれてはじめて読んだ本が「ニルスのふしぎな旅」でした。あのときはただ、鳥にのって自由に空を飛べるニルスがうらやましかった。作者が女性だということも、スウェーデンがどこにあるかも知らず、物語に夢中になりました。だから、もう何十年も開いていない童話をひもときながら、スウェーデンを旅し、青い空を見たら、子供のころの記憶がよみがえってきました。良い思い出も、苦い思い出も、今はとてもみずみずしい。親孝行はまだ少し先になりそうです。

2010. update.

Astrid Lindgren

アストリッド・リンドグレーン

「子どもの本の女王」といわれるスウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーン(Astrid Lindgren)。スウェーデンのスモーランド地方の農家に4人兄弟の長女として生まれ、幼い頃から大自然の中でたくさんの本に囲まれて過ごしたそうです。ピッピやロッタちゃん、エーミル、やねの上のカールソンなど愛すべきキャラクターをたくさん生みだし、「やかまし村の子どもたち(Alla vi barn i Bullerbyn)」では、彼女の故郷スモーランドと幼少時代をユーモラスに描いています。
ある子供から「やかまし村は本当にあるのですか?」と手紙が届いたそうです。「だって、もし本当にあるなら、もうウィーンにはいたくないの!」 子供心をくすぐるリンドグレーンの作品は不滅です。

2010. update.

Pippi

長くつ下のピッピ

1941年の冬、リンドグレーンは肺炎にかかった娘カーリンを喜ばせようと、天真爛漫な赤毛の女の子の物語を思いつきました。「長くつ下のピッピ(Pippi Långstrump)」の誕生です。世界一つよい女の子ピッピは、またたくまに子どもたちの人気者に。100カ国以上で出版され、世界中から愛されるようになりました。
どうしてピッピが「長くつ下」をはいているのか、ずっとナゾだったけれど、「あしながおじさん」が好きだったカーリンが、「長くつ下をはいた女の子のお話をつくって!」と母親にお願いしたのがきっかけだったそうです。
スウェーデンでは街中でピッピを見かけます。ユールゴーデン島のユニバッケンにアストリッド・リンドグレーン博物館(Junibacken)があります。

2010. update.

Message to children

遊んで、遊んで

映画やアニメ、ミュージカルにもなっている「長くつ下のピッピ」。子どもたちの憧れの的だったピッピも、学校嫌いでお行儀が悪いことから、最初親たちからは「子供に読ませたくない本」として不人気だったとか。でも「遊んで、遊んで、遊びなさい」というリンドグレーンの強いメッセージが、子供たちのハートをつかんだのです。親たちは、ピッピの冒険に目を輝かせ、童話のようにいきいきと遊ぶわが子を見て、寛大になったのでしょう。森を大切にし、光をわけあい、自然の中でのびのび暮らすこと。楽しんで生きること。リンドグレーンは物語を通して、子供たちに明るい未来をしめしてくれたのです。

2010. update.

ユニバッケン・リンドグレーン博物館

Junibacken

ユールゴーデン島にあるテーマパーク、ユニバッケン。小さなお子さんを連れて行くならおすすめ。
http://www.junibacken.se

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