北欧フィーカ|スウェーデン・ダーラナの旅2|ダーラフローダのウールの刺繍。フローダ・へムスロイドとウォルステッズ。|Scandinavian fika.

デンマーク・スウェーデン・フィンランド、北欧デザインの旅。

ダーラフローダのウールの刺繍。へムスロイドとウォルステッズ。

スウェーデン人の"心のふるさと"、ダーラナ(Dalarna)。シリヤン湖(Siljan)南に位置するダーラナの小さな村、ダーラフローダ(Dala-Floda)を訪ねて、ストックホルムから特急列車に乗ってボーレンゲ(Borlänge)へ。そこから西へ、バスに揺られること約40分。ダーラフローダを流れる美しいヴェステルダール川のほとりに、スウェーデンの伝統的な赤い家々が見えてきます。

スーパーICA(イーカ)前のバス停でバス降りて、はじめて足を踏み入れたダーラナの地。川と森と湖に囲まれた、スウェーデンの田舎の風景。絵本の中から出てきたような、素朴で、愛らしい、のどかな村。

ダーラフローダに訪れた旅人を出迎えてくれるのは、花模様のウールの刺繍。
この村の美しい伝統のひとつ、ポーソム(Påsöm)の刺繍を求めて、
小さな手工芸店フローダ・ヘムスロイド(Floda hemslöjd)と、毛糸工場ヴォルステッズ(Wålstedts)をめぐります。

<ダーラフローダの旅2 中編>
>> ダーラフローダの旅1(前編)ダーラフローダの旅3(後編)と合わせてご覧ください。

□写真左/ 美しい民族衣装をまとったスウェーデン・テキスタイル専門家のアンナ・カーリン(Anna-Karin)さん。


Floda hemslöjd

フローダ・ヘムスロイド

ダーラナの小さな村 ダーラフローダ(Dala-Floda)を訪れ、バスを降りると、最初に目にする赤い小屋。ここは村にひとつだけのおみやげ屋さん、手工芸店のフローダ・ヘムスロイド(Floda hemslöjd)。ヘムスロイド(hemslöjd)とは工芸や民芸という意味で、スウェーデンのいろいろな町にヘムスロイドと名前のつく手工芸店があります。
旅の前編でご紹介した、フローダ教会赤い橋と同じくらい、ダーラフローダを思い出す時にはじめに浮かんでくる可愛らしいお店。フローダ・ヘムスロイドは、昔ながらの伝統を守ろうとする村の人びとが集まって、手づくりの民芸品を扱っています。お店を運営するのは、フローダのハンドクラフトを残していこうとするボランティアさんたち。
小さなお店いっぱいに、花模様の可愛らしい民芸品が並んでいます。その中でも、特に目を奪われたのは赤と青の色あざやかな民族衣装。スウェーデンでいちばん美しい民族衣装に選ばれた、フローダのポーソム刺繍のドレスが、この村の歴史と未来をつむいでいるのです。

2014. update.

Påsöm

ポーソムの刺繍

フローダ・ヘムスロイドの店内には、お馴染みのダーラヘストほか、白樺細工や編み物、織物など、村の女性たちがつくった手づくり民芸品が並びます。
ダーラフローダの民俗衣装のケープやスカートのベルト、エプロンにつけるポシェット、帽子や手袋にもほどこされている、野の花をあしらった色鮮やかなウールの刺繍はポーソム(Påsöm)と呼ばれていて、この村の美しい伝統のひとつ。やわらかな毛糸のポーソム刺繍にふれてみると、花や葉がふんわりと浮かび上がっているのがわかります。
黒いミトンのポーソム刺繍は、フローダ村のかわいい看板にもなっていて、ポーソムのタペストリーやカーテンも人気なのだとか。
スウェーデンでは長い冬のあいだ、家の中で刺繍や編み物をして過ごすことが多いのだそうです。ポーソムの可憐な花も、春の訪れを願って、一針一針思いを込めて指先から家の中へと咲かせてゆきます。いつの時代も細い糸が人の心をつかむのは、そこに、確かな時が刻まれているから。いくつもの冬を越え、いくつもの春が来たから、フローダの村いっぱいにポーソムの花が咲いたのです。

2014. update.

Flodahäst

フローダへスト

スウェーデンのダーラナを旅して、ダーラヘスト(Dalahäst/ダーラナホース)のおみやげを買って帰るのはマスト!フローダに着いた時はフローダ・ヘムスロイドがまだ開いてなくて、オープンを待ちながらそわそわ。窓から店内をのぞいたら、窓辺にグラナス(Grannas)のダーラナホースを見つけて、色や大きさなど、どれにしようかずっと悩んでました。
でも、もっとも頭を悩ませたのは、フローダのダーラヘストを見たとき!ナチュラルの無垢の木彫り馬の背中に、ポーソム刺繍の鞍をのせたフローダへスト(Flodahäst)の可愛らしいこと。刺繍が入ったものはお値段も高めなので泣く泣くがまんしましたが、やっぱり買っておけばよかった。
それから、ダーラフローダで受け継がれてきた伝統的なウールと麻の織物マットも素敵でした。スウェーデンのトーラスマッタ(裂き織りマット)もほしかったけど、フローダの伝統的な織柄に魅かれました(でも、やっぱりお高くて、スウェーデンクローナが足りず!)
フローダ・ヘムスロイドには村のガイドマップもあり、観光案内所のような役割も果たしています。持ち帰ったダーラフローダのパンフレットはお気に入りで、大切な宝物です。

2014. update.

Wålstedts

毛糸工場ヴォルステッズ

ダーラフローダには、スウェーデンでいちばんの呼び声も高い人気の毛糸屋さんがあります。毛糸工場のお隣には農園レストランもあって、ランチがおすすめ!と聞いていたので、フローダ・ヘムスロイドから地図をたよりに歩いて行ってみることにしました。
フローダ教会から赤い橋を渡って、民芸館フローダ・ヘムビグスゴーデンを通りすぎ、ヴェステルダール川沿いの一本道を南東にてくてく歩くこと50分!(けっこう遠いけど行く価値あり)道の途中、庭でFIKAしている赤い家々の家族に「Hej!(ヘイ!)」とごあいさつ(片手を軽く上げるのがポイント)。草原のひつじにも「Hej!」、馬にも「Hej!」畑の道にぴょんと立っているニワトリのサインが見えて、毛糸工場は「こっちだよー」という矢印が出ていればもうすぐ。
野菜園の広がる緑の中に、毛糸工場ヴォルステッズ・テキティールヴァルクスタッド(Wålstedts Textilverkstad)がひっそりと建っています。家族で営む1935年創業の村の小さな毛糸屋さんは、スウェーデンだけでなく、世界の編み物作家やテキスタイル作家から支持を得ている人気の毛糸専門店。特別な輝きを持つという、毛糸のひみつを探ります。

2014. update.

Swedish Wool

毛糸のひかり

4世代にわたって受け継がれてきた、ダーラフローダの毛糸工場ヴォルステッズ。ロゴにひつじ、家族、ダーラナ、糸車が描かれているように、家族経営のウォルステッズは工場というよりも、もっとアットホームな感じ。緑あふれるのどかな場所にファールン・レッドの赤いおうちがあり、そこがヴォルステッズの毛糸ブティック。
中に入ると、フローダの伝統的な編みものやスウェーデン製の織機といっしょに、さまざまな色に染色されたウールが紙袋にどっさりと入っていました。不思議なのは、深みのある色あいのウールがきらきらと輝いていること。
ウォルステッズでは、スウェーデンのランドレース種の厳選した羊のウールを工場でつむいで染色し、毛糸に仕立てています。つややかな光沢が魅力の最高品質のウールは、独特の輝きとしなやかさを持っています。
ブティックに並ぶ豊富なカラーバリエーションの毛糸は、色を見ているだけで楽しくなります。混紡のミックスの色糸には「ラベンダー」「クラウドベリー」などの愛らしい名前がついていて、おみやげに「ラベンダー」「ローズ」「夏至の花(ゲラニウム)」のミックスの毛糸を買って帰りました。
ウォルステッズでは、ウールから毛糸ができあがるまでの行程を見せてもらえるガイドツアーも行っているそうです(要予約)。映像の「毛糸工場ヴォルステッズの物語」も面白い!
▶ Vimeo / Spinneri「毛糸工場ヴォルステッズの物語」

2014. update.

Wålstedts Gårdsbutik

毛糸屋さんの農園レストラン

毛糸工場ヴォルステッズのまわりには野菜園が広がってます。毛糸ブティックの向かいには、採れたてのオーガニック野菜や果物、ハーブ、小麦粉、卵などの食材を直売するファームショップと、新鮮な野菜をふんだんにつかった料理が味わえる農園レストラン、Wålstedts Gårdsbutik があります(※ランチタイムや営業時間は要確認)
ヴォルステッズのファームショップ&レストランもほんとうに素敵で、窯から焼きあがった大きなまあるい田舎パンの香ばしい香りが漂っていました。田舎パンの横には、スウェーデンの伝統的な工芸品のブレッドバスケットや、可愛い食器がつまったホーンスコープと呼ばれる古い木製戸棚、卵といっしょに飾られたユニークな鉄製の鳥のロウソク台など、心をくすぐるものばかり。後で知ったのですが、この鉄のロウソク台はダーラナのテルベリー(Tällberg)で暮らし、レクサンド(Leksands)手工芸協会を設立した人物、グスタブ・アンカルクローナ(Gustaf Ankarcrona)がデザインしたものだとか。
毛糸工場、ファームショップ&レストランだけじゃなく、(写真の)ボーダー・コリーがしっぽをふっている奥の建物には、なんとサーカス学校(Cirkusläger i Dala-Floda)もあるのです!ウォルステッズって楽しい!

ダーラフローダの旅は、いよいよ後編へ。
2013年の旅のはじまりに書いた、「フィンランドとスウェーデンをめぐる旅の終着点」へと向かいます(後編へつづく)

2014. update.

ダーラフローダ

Dala-Floda

ストックホルムの北西、シリヤン湖の南に位置するダーラナの小さな村ダーラフローダ。
http://www.dala-floda.se

毛糸工場 ヴォルステッズ

Wålstedts Textilverkstad

1935年創業のダーラフローダの小さな毛糸屋さん。世界の編み物作家にも人気の毛糸専門店。
http://www.walstedts.se

はじめての北欧旅行・旅メモ

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