北欧フィーカ|バルト海の楽園、ゴットランド島。バラと廃墟の街、ヴィスビー。|Scandinavian fika.

デンマーク・スウェーデン・フィンランド、北欧デザインの旅。

バルト海の楽園、ゴットランド島。バラと廃墟の街、ヴィスビー。

ストックホルムから南へ200km。バルト海の楽園、ゴットランド島(Gotland)。
ゴットランドシープと白い砂浜、ラウク(Rauk)と呼ばれる奇岩群で知られるバルト海のリゾートには、夏になると多くの観光客がバカンスに訪れます。
島の中心部 ヴィスビー(Visby)は、12~13世紀にハンザ同盟の貿易港として栄えた都市。世界遺産の旧市街は「バラと廃墟の街」とも呼ばれています。

これまで訪れた どのスウェーデンの景色とも違うゴットランド島。
短い旅が、ぜんぶ夢だったようにも思える魅惑の島。

北欧の旅、最終章 ─── 
ゴットランド島。美しきヴィスビーへ。

ゴットランド・ヴィスビー旅2 後編>
>> ゴットランド・ヴィスビー旅1(前編)と合わせてご覧ください。

□写真左/ バラと廃墟の街 ヴィスビーで最もフォトジェニックなスポット「漁師の小路」

Gotland

ゴットランド島へ

バルト海に浮かぶ楽園、ゴットランド島(Gotland。「ゴート族の地」を意味する「ゴットランド」は、バルト海の南部に位置するスウェーデン最大の島。
島の中心部、ヴァイキング時代の文化遺産が多く残る ヴィスビー(Visby/スウェーデン語:ヴィズビュー)は、アニメ『魔女の宅急便』のモデルとなった街といわれています。
スウェーデン人にとってゴットランド島が夏の休暇を過ごす憧れの場所であるように、日本人にとっても、ここは特別な場所なのです。

ストックホルムからバスに乗って1時間。ニュネスハムン(Nynäshamn)の港でヴィスビー行きの大きなフェリー、デスティネーション・ゴットランド(Destination Gotland)に乗り換えて、バルト海をさらに南へと進みます。
(ストックホルムからヴィスビーまで、バスと船を乗り継いで約4時間。飛行機なら45分)

船旅が好きな理由は、海から島が見れること。船のデッキでカメラ越しに島を見たり、少しづつ目的の場所へ近づいてゆく、あの感覚が好きなのです。
遠い遠い北欧の、遠い遠い島。ずっと長い間、そこへ行くことを夢見ていた島。遠く離れていても、時の流れが波のようにゆらゆらと、自分の好きなもののそばへ、自分を突き動かしてゆくのがわかるのです。
北欧・スウェーデン。バルト海の彼方。夢のゴットランド島へ。

2017. update.

Almedalen

アルメダーレン

かつて要塞だったハンザ同盟都市 ヴィスビー(Visby)は全周3.4kmの城壁にぐるりと囲まれています。中世の面影を色濃く残す城壁の中の歴史的な街並みは、スウェーデンの世界遺産として今も大切に守られています。
オレンジ色の屋根の建物が仲良く肩を並べて建っているヴィスビーの街並みは、本当に『魔女の宅急便』の街「コリコ」にいるよう。きっとこの街のどこかに「グー・チョキ・パン屋」があって、キキが箒にのって飛び回っていることでしょう。
ゴットランドはこれまで訪れたスウェーデンのどの場所とも違う、独特の雰囲気に満ちていて、廃墟の教会や朽ちた遺跡の跡さえ、景色と溶け合って美しい。
ヴィスビーの港からストランド通り(Strandgatan)を15分ほど歩いて、ゴットランドシープの像がある城壁を抜けると、オアシスのような公園、アルメダーレン(Almedalen)が広がります(写真上)。花と緑につつまれた公園からヴィスビーの景色を眺めるだけで、心がすーっと洗われるよう。噴水の泉のまわりでは鳥が羽を休め、学生は芝生に寝転んで本を読んでいます。老夫婦は花の匂いを嗅いで、ほほえみ、手をつないで散歩しています。
この景色の中に身を置くと、せかせかと次の場所へ行くのがもったいない。いつまでもここにいたい、そう思えるほど。
ヴィスビーを発つ時は、最後にもう一度、ここに来よう。

(※アルメダーレン公園は『魔女の宅急便』のキキの実家の風景のモデルになったとも言われています)

2017. update.

Fiskargränd

漁師の小路

「バラの都」と呼ばれるヴィスビーでは、街中で私たちを出迎えるように、バラの花が咲いています。街角のどんな風景も写真に撮りたくなるほど絵になるヴィスビー。その中でもフィスカーグレン(漁師の小路/Fiskargränd)は最高のフォトスポットです。気がつかずに通り過ぎてしまうほどの細い石畳の小路に入ると、真っ赤やスウェーデンイエローのバラが咲き誇り、その向こうには街のシンボル、サンタ・マリア大聖堂(S:ta Maria domkyrkan)の黒い塔が見えます(写真一番上)ふだんは観光客でいっぱいになるこの小径も、この日はひとりじめ。夢中でシャッターを切りました。
もし写真が好きでヴィスビーの風景をいっぱい撮りたいなら、ぜひ城壁の中の北エリアをまわってみて。火薬塔 〜 漁師の小路 〜 ボタニスカ・トレーゴード(植物園)〜 セント・ニコライ教会(S:t Nikolai Kyrkoruin)〜 サンタ・マリア大聖堂(S:ta Maria domkyrkan)〜 東の高台(※サンタ・マリア大聖堂の奥の階段を上ったところ)がおすすめのコース。北エリアを一通り周ったら、街の中心のストラ大広場(Stora Torget)へ向かいましょう。

「漁師の小径」近くの城壁には、1100年代につくられたヴィスビー最古の建造物、火薬塔(Kruttornet)が建っています。オレンジの三角屋根の塔は、昔は火薬庫として使われていたもの。アルメダーレン公園近くのゴットランド博物館(Gotlands Museum)で鍵を借りれば、火薬塔の中を見学することもできるそうです。
少し陽が落ちた白夜の夜。火薬塔の城壁に沿って海辺を歩いたら、とっても気持ちよかった。バルト海が琥珀色にキラキラきらめいていました。

2017. update.

S:ta Katarina Ruin

サンタ・カタリーナ教会

「バラと廃墟の街」とも呼ばれるヴィスビー。『魔女の宅急便』の街からは想像できない響きだけれど、廃墟めぐりもわくわく楽しい。
ヴィスビーの旧市街に点在する9つの廃墟の教会の中でも最も大きいものが、ストラ大広場(Stora Torget)に建つサンタ・カタリーナ教会(S:ta Katarina Ruin ※サンタ・カーリン教会とも呼ばれています)1233年につくられたこの教会は、朽ち果てた姿さえ壮大で美しい。静けさの中、太陽の位置によって変わる光と影がとても神秘的でした。
(セント・カタリーナ教会は夏の間は自由に見学することができます)
隣には廃墟の景観を活かしたカフェレストラン・ローゼンダール(Rosengården)があってランチやフィーカにおすすめ。

ストラ大広場の近くのセント・ラルス教会(S:t Lars Ruin)もぜひ見てほしい場所。廃墟となった教会の壁から緑があふれ、草花が咲き、植物の力で廃墟の教会が再生しているよう。
ヴィズビーの街をめぐりながら廃墟や城壁を見て思ったことは、ゴットランドは『魔女の宅急便』だけじゃなくて「ラピュタも入ってる!」ということ。植物や苔の生えた城壁はまるで『天空の城ラピュタ』!!どこからか、小鳥をつれたロボット兵が出て来そうな雰囲気。ヴィスビー観光は、ジブリファンにとって至福のひとときなのです。

2017. update.

Botaniska trädgården

ボタニスカ・トレーゴード

「漁師の小径」の奥に広がる ボタニスカ・トレーゴード(Botaniska trädgården)は、誰でも気軽に入ることができる植物園(入場無料)。手入れの行き届いた美しい花壇やバラ、ルピナスが満開でした。
植物園には猫が一匹住みついていて、カメラを構えて花の写真を撮っていたら足元にすり寄ってきました。昨日、ストラ大広場のそばで見かけたジジにそっくりなサバトラちゃん。人なつっこくて、ずっと私の後を追いかけてきます。もしかしてヴィスビーの秘密の場所を案内してくてるのかな? なんて思って口笛を吹いたら、ぴょんと跳ねるようにして、木の陰に隠れてしまいました。木の隣には大きな大きなキングサリがあって、黄色い花が空から降り注ぐように咲いていました。

植物園の奥の監視塔を上ると、バルト海とヴィスビーの城壁の外が見渡せます。ゴットランド島はとても数日では周りきれないほどの大きな島。旧市街の城壁の向こうにも、魅力的なエリアがたくさんあるのです。
もしつぎにゴットランドを訪れたら、レンタサイクルやバスを利用して、島の北部フォーロー(Fårö)へ行ってラウク(Rauk)と呼ばれるゴットランド島の有名な奇岩群を見てみたいな。

(ヴィスビーの城壁の外やゴットランド島の情報は本当に少ないのですが、FIKADAGS さんの旅行記はおすすめです!写真が本当にきれいで、北部や南部の美しい島の景色もたくさん出てくるのでぜひ見てほしいな)

2017. update.

Skafferiets

あの夏の ベリーパイ

足がパンパンになるまで歩きまわって写真を撮ったあとは、おみやげ探し。夏至祭のイブだったのでクローズのお店も多かったけれど、1700年代に造られた建物のAkantus(アーカントゥス)には、ゴットランド在住のアーティストの作品やゴットランドのおみやげがいっぱい並んでました。
午後のフィーカは、ストラ大広場から南の城門にのびるショッピングストリートの人気カフェ Skafferiets(スカッフェリエ)へ。ガーデンテラスでやさしい味わいの自家焙煎コーヒーと、スウェーデンのベリーパイをいただきました。香ばしいパイと、プチプチはじけるフレッシュなリンゴンベリーとブルーベリーが感動的なほど美味しかった!!

あっというまに過ぎていった、2泊3日のゴットランドの旅。スウェーデンであって、スウェーデンではないようなゴットランドの風景はどこか夢のようで、バラの咲く季節になると、記憶がふわっとよみがえっては消えてゆきます。そして、あのベリーの甘酸っぱさが無性に恋しくなるのです。

出発の日の朝、ホテルを出てヴィスビーの港へ向かうとき、最後にどうしてもやりたかったことがあります。
立ち寄ったのはアルメダーレン公園。美しい街の景色の中を歩きながら、イヤホンを耳にあて、旅のエンディングにどうしても流したかった、あの曲を聴きました。

♪ 小さい頃は神さまがいて
不思議に夢をかなえてくれた
やさしい気持で目覚めた朝は
おとなになっても 奇蹟はおこるよ

カーテンを開いて 静かな木洩れ陽の
やさしさに包まれたなら きっと
目にうつる全てのことは メッセージ

2017. update.

ゴットランド島

Gotland

バルト海に浮かぶスウェーデン最大の島、ゴットランド島。中心部は世界遺産の街ヴィスビー。
http://www.gotland.net

デスティネーション・ゴットランド

Destination Gotland

ニュネスハムン(Nynäshamn)と、ゴットランド島・ヴィスビーを結び大型フェリー(毎日運行)
http://www.destinationgotland.se

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