北欧フィーカ|フィンランド・ヘルシンキの旅|テンペリアウキオ教会と、シベリウス公園。|Scandinavian fika.

デンマーク・スウェーデン・フィンランド、北欧デザインの旅。

岩の教会テンペリアウキオと、シベリウス公園。

氷河期から残る天然の岩をくり抜いて造られたというテンペリアウキオ教会(Temppeliaukion kirkko)。岩肌がむき出しになった教会の中に一歩足を踏み入れると、天から降り注ぐような神秘的な自然光が祭壇を照らします。ヘルシンキ市民にとって、テンペリアウキオ教会で結婚式を挙げることは「夢」なのだとか。

世界でも類を見ない岩の教会からトーロ湾に向かって少し歩くと、アルヴァ・アアルトが晩年に手がけた作品、フィンランディアホールが見えてきます。
トラムに乗って1つ先に行けば、白樺の林を抜けた海岸線に、フィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウスを記念したステンレスのモニュメントが現れます。

耳をすまし、時を忘れて、静寂と音楽の旅へ。

□写真左/ 金色に輝くパイプオルガンの音色は、岩に響いて、とてもとても美しいのだとか。

Temppeliaukion kirkko

テンペリアウキオ教会

中央駅から3Tトラムに乗って、Sammonkatu 駅で降りてすぐ。閑静な住宅街の真ん中に、別名「ロックチャーチ」と呼ばれるテンペリアウキオ教会(Temppeliaukion kirkko)があります。
フィンランドの地形は氷河期に形づくられたものだとか。森と湖だけでなく、氷河期から残る大きな岩山もフィンランドにとって大切な自然のひとつ。「できるがぎり自然の岩を残す」というテーマでつくられたこの教会は、1961年にティモ&トゥオモ・スオマライネン兄弟によって設計され、1969年に完成しました。
地面から突き出した岩をくりぬいて造ったテンペリアウキオ教会の壁は岩肌がむき出しになっていて、花崗岩の粒子がきらきら光り、つやめいて美しい。ドームでおおわれた天井には直径24m銅板があり、そのまわりには180枚の天窓のガラスが張られています。「太陽」をあらわす銅板と天窓からこぼれる自然の光は、教会の中を明るく照らすだけでなく、神聖で、美しい岩肌ようなきらめきを、私たちにもたらしてくれます。

2013. update.

Church of the Light

光につつまれて

世界にふたつとない、岩の教会テンペリアウキオ。フィンランドの旅を振り返っている今、思い出す光景は、テンペリアウキオの「光」です。ここは自分にとって「岩」の教会というよりも、むしろ「光」の教会なのです。それくらい天窓からさす自然光が神秘的で、ひとときの静寂の中、光につつまれているようでした。華美な装飾が一切ない岩肌がむき出しの教会で、その光と影が、フィンランド建築の素晴らしさを映し出していました。
教会の中央には、花崗岩をカットしたささやかな祭壇と小さな十字架があります。1000席ほどのパープルの座席の横には、大きな金色のパイプオルガン。削り出したむき出しの岩肌を残したことで独特の音響効果を得られ、パイプオルガンのコンサートでは美しい音色を聴くことができるそうです。
市民にとって憧れのテンペリアウキオ教会では、週末に結婚式もひらかれています。日本人の方で海外ウェディングを挙げられたご夫妻もいらっしゃって、ほほえましくなりました。

2013. update.

Rock Church

ロックチャーチ

「ロックチャーチ」と呼ばれるテンペリアウキオ教会は、外から見るととても教会とは思えません。ヨーロッパの教会というと、バロック様式の高い塔が築かれているものをイメージしますが、この教会は天然の小さな岩山を10mくり抜いて地下に造られています。
トラムの駅から徒歩数分ですが、教会の入口に気がつかなくて、初めは通り過ぎてしまいました。 10時前に到着してオープンを待っていると、黒のラブラドールを散歩しているお姉さんが、神聖な教会の岩山を登っていくではありませんか!登っていいのか迷いましたが、ラブの後に続くようにこっそり岩の階段を登ってみました。……気持ちいい!なかなかの景観。外観のドームも近くで見れていいなーと思っていると、私のあとに続いて、遅れてやってきた観光客がぞろぞろと登ってくるではありませんか!もう、みんな岩山でパシャパシャ記念撮影。まずい、まずい、まずい!係の人に怒られる前にさっさと降りねば!とひとりパニック状態でしたが……教会の岩山、登ってもまったく問題ないそうです。時間があったら、ぜひ「ロックチャーチ」の岩山に登ってみてください。

2013. update.

Finlandia-talo

フィンランディアホール

テンペリアウキオ教会から歩いて5分。東のトーロ湾と西のマンネルヘイム通りの間にたたずむアルヴァ・アアルトの晩年の代表作、フィンランディアホール(Finlandia-talo)。1700人収容のコンサートホールと国際会議場を兼ねた白亜の文化施設は、1971年に完成。アアルトが手がけたヘルシンキ中心部の再開発計画で、唯一実現を見た建物だとか。杮落しではシベリウスの『フィンランディア』が演奏されたそうです。外壁には表面がカーブした白大理石が貼られ、日差しが当たって影ができるとテクスチャのような模様がうっすらと浮かび上がります。
フィンランディアホール前の湖の畔は心地よい散歩道になっていて、ジョギングやサイクリングしている人が多かったです。散歩道をまわって、裏手の湖越しに見るフィンランディアホールが最高に美しい。

(※トラムで行く場合は、3、4、7、8、10トラムに乗って、Ooppera駅で降りてすぐ)

2013. update.

Birch

白樺の樹

朝一番にシベリウス公園に行くために、その日は中央駅からいつもの3Tトラムに乗って、最寄りのToolontori駅へ。そこから海岸へ向かって徒歩5分くらい。白樺の林の抜けると、海の近くにシベリウスのモニュメントがあります。
フィンランドを代表する白樺の樹々を見ていると、不思議と心が安らぎます。木の香りや木目。感触。ぬくもり。北欧の白樺は、日本の檜のような癒しを与えてくれます。
去年の夏に家をリフォームしたとき、床をすべて無垢の白樺(バーチ材)のフローリングに張り替えました。完成後、はだしで初めて無垢の白樺の上を歩いた時の感動は忘れられません。夏はひんやりと冷たく、冬はあたたかい。木は家の一部になっても、家具の一つになっても、呼吸しているのです。
アアルトのスツール60もバーチ(塗装のないもの)を使っています。似たような椅子は安くていくらでも売ってますが、スツール60に触れてみれば、バーチ材の素晴らしさがすぐにわかります。美しく、なめらかで、ぬくもりがあることに。フィンランド語がわからなくても、フィンランド人のことがわからなくても、五感を通して、いつもそばにあるフィンランドを感じているのです。

2013. update.

Sibeliuksen Puisto

シベリウス公園

交響詩『フィンランディア』などで知られる、フィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウス(Jean Sibelius)。彼の80歳の誕生日を記念して1945年に命名されたのがシベリウス公園(Sibeliuksen puisto)。市民の憩いの公園の中央には、1967年に女流彫刻家のエイラ・ヒルトゥネンによってつくられたシベリウスの肖像彫刻と、ステンレスパイプの巨大なモニュメントがあります。
シベリウスの顔のオブジェはかなりインパクトがあります。顔のまわりにひらひらとなにかがくっついていて、ずっとシベリウスの大きな耳だと思っていましたが、これは音楽をあらわしているそうです。そして1967年当時にこんなステンレス彫刻が作られたことは、すごい技術の結晶だったとか。
シベリウス公園はバスツアーの観光客がいっぱいで、なかなかモニュメントの写真が撮れないと聞きましたが、私が行った朝は、自分以外誰もいませんでした。パイプオルガンやフィンランドの森をイメージさせる巨大モニュメントに耳をあてると、不思議な音が聞こえてくるという本当か嘘かわからないウワサを耳にしました。誰もいない公園に立って、大きく深呼吸すると、風にそよぐ木々の中で音のない音楽が流れているような、不思議な気持ちになりました。

2013. update.

フィンランディアホール

Finlandia-talo

アルヴァ・アアルトの晩年の代表作フィンランディアホール。裏手の湖越しに見るのがおすすめ。
http://www.finlandiatalo.fi

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