北欧フィーカ|イイダ傘店の新しいアトリエへ。平成二十八年 秋の日傘・雨傘展。|日本・Made in Japan|Scandinavian fika.

デンマーク・スウェーデン・フィンランド、北欧デザインの旅。

イイダ傘店の新しいアトリエへ。平成二十八年 秋の日傘・雨傘展。

イイダ傘店 10周年記念「日傘・雨傘 アーカイブ展」から1年。夏の終わりにポストに届いた傘展の案内状。封筒につづられた、イイダ傘店さんからの手書きのメッセージがうれしい。
手紙のような案内状が届くだけで、ふわっと明日が明るくなる。その日が待ちきれなくなる。晴れの日も、雨の日も、傘への想いはつのるばかり。

行き先は東京・吉祥寺。この街で、イイダ傘店の新しい物語がはじまる予感。
平成二十八年、秋 日傘・雨傘展へ。

□写真左/ 薄くて柔らかい綿の二重張り。「クッキー」のストロベリージャムの日傘

>> イイダ傘店の過去の展示会の模様と合わせてご覧ください。

Atelier Kichijoji

吉祥寺のアトリエ

「イイダ傘店 10周年記念 日傘・雨傘 アーカイブ展」から1年。夏の終わりに届いた、イイダ傘店からの案内状。
残暑に大活躍の『おでん』うちわをパタパタあおぎながら、1年ぶりの「平成二十八年 秋 日傘・雨傘展」の案内状にわくわく。鉛筆のような手書きの線と、三角や四角や丸の形が重なった薄いグラシン紙の封筒は中が透けていて、ミシン糸で綴じられた小さなブックレットが入っています。
どうやって封筒を開けたらいいのか正解がわからぬまま、思い切ってパリパリのグラシン紙のすみっこをペリペリとはがします。いつも工夫をこらしたすてきな案内状だけど、今回は特別に贅沢な作り。ブックレットには1ページ1ページ新作テキスタイルの原画や写真がつづられていて、風船みたいなものがふわふわ飛んでいたり、童話に出てくるような大きな鳥が羽ばたいていたり。衝撃の赤いツブツブが並んでいたり。最後のページには、なにやら改装中の物件の写真が………

案内状の地図をたよりに向かった先は東京・吉祥寺。学生の頃、憧れだった吉祥寺の街。井の頭公園やハモニカ横丁、街角にもレトロな雰囲気が満ちていて今もやっぱり楽しい。
北口を出て、パルコを通って、可愛いショップが並ぶ中道通りをまっすぐ。公園の前のマーガレット・ハウエルとドーナツ屋さんを過ぎたら、歩いてあともう少し。
ほら。吉祥寺の街に、小さな傘の看板が見えてきた。

2016.10. update.

Alps

さんかくアルプス

2016年9月3日。お披露目となった「イイダ傘店」の吉祥寺の新しいアトリエには、開店前から大勢の人が。店頭にはススキやワレモコウなど、開店を祝う秋の花が飾られています。これまでずっとお店を構えずに、年2回の日傘・雨傘の展示受注会でオーダーを受けてきたイイダ傘店。都内にアトリエがオープンして、そこで傘展が開かれることはファンにとって特別なことなのです!
吉祥寺の古い物件をリノベーションして、スタッフみんなでDIYでつくった新しいアトリエ。店主のイイダさんが彫刻刀で彫った傘の看板の愛らしいこと。白い木枠の引き戸を開けて中に入ると、真新しい無垢の木や、飴色になじんだ古いテーブルや什器が並んでいて、新しい傘や雑貨をささえています。初めてなのに、ちょっと不思議。なぜだか、なつかしい感じ。ここがショップではなく、「アトリエ」にこだわっているところが、とってもイイダ傘店らしい。
葉山で見つけたという素敵なアンティークの建具。窓辺には新作テキスタイルのさんかくが並んだ『アルプス』の布が飾られていました。「朝焼け」「夕焼け」という名前がつけられた、2つのカラーの「ほぐし織り」のアルプス。経糸に絵柄を染め付けてから織りあげる「ほぐし織り」は、絵柄のかすれとブレに味わいがあります。『ミモザ』の春風のそよぎも好きだけど、『いちょう』や『栗の木』の揺らぎもシック。秋に見る「ほぐし織り」の傘は、特に際立って美しく見えます。『アルプス』は揺らぐことのない山だけど、霧のかすみの向こうに山々があるよう。
平成二十八年 秋の傘展のいちばんの作品ともいえる、手づくりのアトリエ。吉祥寺の街にひっそりと建つ傘屋さんのアトリエの窓の向こうには、アルプスの夕焼けが広がっていました。

2016.10. update.

Cookies

クッキーとピアス

まる、サンカクシカク、お花みたいなカタチ……薄くて柔らかい綿の二重張りの日傘は、手書きの線で形作られた手づくり『クッキー』。まん中には甘ずっぱいジャムがのっています。アトリエの窓辺で揺れていた新作『クッキー』のテキスタイルは、一枚布で見た時と、傘に仕立てられた時とでは雰囲気がまるで違う。傘になった『クッキー』は、甘さひかえめの上品な大人のクッキー。
『クッキー』の原画のおとなりには、焼き菓子のベーキングカップのパッケージに入った金色のピアスがキラリ。アクセサリー作家の KAMIORI KAORI さんとのコラボレーションで生まれた『COOKIES ピアス』は、テキスタイルの絵柄から、クッキーを1個づつ抜き出した15種類の真鍮のピアス。色ちがいの小さく編んだ糸玉がアクセント。
いつも笑顔で出迎えてくれるイイダ傘店のタカヤマさん。今日はおなじみの傘柄のヘアターバンではなく、左右違うデザインのクッキーピアス。
タカヤマさんにお願いして、特別に1階の展示会場から、実際に傘がつくられている2階のアトリエへ案内していただきました。傘専用のペガサスのミシンや、細やかな手縫いが行われる畳部屋。裁断の三角木型や、小間の生地見本。露先、天紙、梅干しやそら豆のボタン。宝の山のような傘のパーツがいっぱい。
『イイダ傘店のデザイン』の本が出るまでは、傘がどんなふうに作られているのか、想像もできなかった。傘づくりの前には、布づくりがあり、その前にはテキスタイルが生まれるスケッチがある。「アイデアを形にする」と一言でいっても、傘ができあがるまでの工程には多くの職人さんたちの手が入り、それをリレーのようにつないでゆく。彼らは、一生ものの傘をつくっているのだ。

2016.10. update.

Bird

バードといっしょに

傘展の案内役のようにアトリエの中を飛びまわっていた4羽の鳥たち。首飾りをつけた緑の鳥。冠飾りの白い鳥。花を持った青い鳥。木の実をくわえた黄色い鳥。緑の鳥は勇敢で勇ましく、大きな白い鳥は優雅で美しい。青い鳥はきっといちばん素早くて、小さな黄色い鳥はきっといちばん人なつっこい。そんなことを勝手に想像しながら、バードの型抜きの活版カードをおみやげに。
新作『BIRD』は、傘の巻きひもにかわいいトリの刺繍がついた日傘。コットンとウールで織った生地は風合いがとっても素敵。
童話に出てくるような4羽のバードはきっと、この大事な傘を守ってくれることでしょう。とじている時は傘の木にとまるように。ひらいた時は傘の翼で空へ舞うように。傘のある自由を教えてくれる。
晴れた日は、バードといっしょに出かけよう。

2016.10. update.

Patch

パッチと わたげ

ランダムな大きさのいろんな色の四角い飾り布を縫いつけた、パッチワークのような日傘『パッチ』。去年の秋のアーカイブ展で見た『いろがみ』の日傘も魅力的だったけど、傘布に飾り布がくっついた立体的な傘はユニークでおもしろい。舞台の小道具のように遊び心があって、傘をさしたままステップを踏みたくなるような心踊る傘。
もうひとつの新作『わたげ』は、タンポポのわたぼうしがふんわり舞う日傘。展示受注会へ来てくれた方へのお楽しみのノベルティは、なんと『わたげ』の耳かき!イイダ傘店の焼印も入っていてたまりません。
雨傘はアーカイブの中から、人気の『そら豆』や『コショウ』、『ヤブカラシ』や『モザイク』、定番の『ストライプ』が並びます。
アトリエで傘話に花を咲かせていたのは、イイダ傘店の新しいスタッフのみなさん。春からイイダ傘店に入って、いっしょにこのアトリエをつくっていったそうです。解体後の掃除から引っ越し、展示会の準備まで慌ただしく過ぎていったという時間。オープン初日は、スタッフのみなさんにとっても「イイダ傘店」としての初めての瞬間。喜びと緊張の中、傘を通してお客さんとふれあう様子がとても初々しく、いきいきとしていました。

2週間後、イイダ傘店さんが「FLOWER」のメインビジュアルを描いた「もみじ市」(手紙社さん主催)でも、スタッフのみなさんが多摩川の河川敷で雨の中、がんばっている姿が印象的でした。次にみなさんにお会いしたときは、傘話に花を咲かせたいな。どの傘が好きなのか、聞いてみよう。

2016.10. update.

Mentaiko

めんたいこ

福岡、博多はめんたいこ。「もう驚かないぞ」と心に決めて、イイダさんが次につくる傘を毎回予想しますが、当たった試しがありません。『のり弁』『おでん』に続く衝撃の傘、『めんたいこ』!!
……やられました。まいりました。
毎年展示会で福岡に行くたびに気になっていたという「めんたいこ」。イイダさんは、このツブツブを刺繍にしたいという気持ちを抑えきれなかったそうです。もしかしたら、私たちが「食べものシリーズ」だと思い込んでいたものは、いつのまにか「ご当地シリーズ」に切り替わっているのかもしれません。今後、香川のうどんや、鹿児島のさつまあげの傘が出てくる可能性あり。次こそは当ててみせます。

夕方、アトリエに訪れたのはイイダさんが傘づくりの師匠と慕う「ハマヲ洋傘店」の鎌田さん。三鷹から自転車に乗ってやってきたそうです。イイダ傘店のアトリエを見渡し、新作の傘を手にとって感触を確かめ、傘をどうつくったのか、イイダさんと言葉を交わしていました。短い言葉でも、音のように響きあう傘職人のふたり。鎌田さんは目を輝かせ、イイダさんと傘をつくる喜びを分かち合っていました。
新しい傘と、飴色の什器。新しいものと古いものが肩を合わせて寄り添っている未完成のアトリエには、イイダ傘店の変わらぬ ぬくもりがあふれていました。
うつりゆく時代も、人の心も、ここで生まれるまっすぐな傘がつないでいるのです。

2016.10. update.

イイダ傘店

IIDA KASATEN

傘作家・飯田純久さんがつくるオリジナル傘ブランド。年2回、日傘と雨傘の展示受注会を開催。吉祥寺のアトリエは傘展期間中のみのオープンを予定。
http://www.iida-kasaten.jp/

ありがとう!

吉祥寺の新しいアトリエ、オープンおめでとうございます!10周年記念展からあっというまに1年が過ぎ、その間に新しいスタッフさんが増え、アトリエをつくっていたなんて驚きでした。念願のアトリエの傘づくりの現場も見せていただき、幸せものです。イイダさん、タカヤマさん、スタッフのみなさん、本当にありがとうございました!

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